日本相撲協会は14日、元関脇琴勇輝(30=佐渡ケ嶽)の引退と年寄「君ケ浜」襲名を承認した。

電話取材に応じた師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「膝を手術して四股が踏めず、稽古が思うようにできなくなっていた。加えて番付も落ちてしまった。それが一番。本人からも『膝が限界です』と言われた」と引退を決断した理由を明かした。

琴勇輝は昨年10月に左膝の内視鏡手術を受け、同年11月場所を全休。十両に陥落した1月の初場所では4勝11敗と負け越して、3月の春場所では西幕下筆頭まで番付を落とした。1場所での関取復帰を目指していたが、手術した膝の状況が悪く、春場所を全休。佐渡ケ嶽親方は「膝を治療しながらすぐじゃなくてもいい、焦らなくてもいいからやれることをやろう、という風には声を掛けたんですけど。なかなか難しかったです」と話した。

香川・小豆島町出身の琴勇輝は、08年春場所で初土俵を踏み、11年秋場所で新十両。13年初場所で新入幕を果たし、東前頭筆頭だった16年春場所では横綱日馬富士から初金星を獲得するなど12勝を挙げ、翌夏場所で新三役となる新関脇の座をつかんだ。立ち合いからもろ手突きで一気に押し出す相撲が魅力のほか、一時は立ち合いの直前に「ホウッ」と気合のこもった声を発することでも注目を浴びていた。通算480勝430敗70休。金星1個、殊勲賞1回受賞だった。

今後は君ケ浜親方として、後進の指導に当たる。佐渡ケ嶽親方は「部屋にも突き押し相撲の力士がいる。そういう力士たちに押し相撲の基本を教えて欲しい。何が必要なのか教えて欲しい」と期待を込めた。