「第73代横綱照ノ富士」が事実上、決まった。日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が19日、東京都内で開かれ、日本相撲協会から諮問されたモンゴル出身の大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜、本名ガントルガ・ガンエルデネ)の、横綱推薦について審議。全会一致で推薦することを決めた。

定例会合後のオンラインによる記者会見で、横審の矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)が明かしたもの。21日の臨時理事会と大相撲秋場所(9月12日初日、両国国技館)の番付編成会議を経て正式決定するが、横審に諮問した同協会内に異論はなく事実上、令和初の横綱が決まった。

この日の会合は7人の委員全員が出席。会見で矢野委員長は「(2場所)連続優勝に準ずる成績と認めて、全会一致で推薦することを決めました」と明言。先場所までの「横綱不在の場所をけん引し、今場所14勝したことも高く評価しました。ケガで序二段まで落ちて奇跡の復活をしたのは、大相撲の長い歴史でも特筆に値する」と称賛した。

照ノ富士の膝の状態について、矢野委員長は「あれだけ包帯、サポーターを巻いて決して万全ではなかった」とした上で「それを克服したのは素晴らしい。会社で言えば重役から新入社員になったようなもの。そこを乗り越えたことにファンも共感したのでは」と賛辞を贈った。

また今後について、同委員長は「体調を管理し万全の備えで、本場所に向けて自分を作ってほしい。大関以上に国民の多くから横綱は期待されている。(それを)ジックリかみしめて実行して欲しい」と熱望した。また師匠のみならず、協会としても「新しい横綱が立派な横綱になってほしいと理事長にもお願いした。周りも、いろいろアドバイスして立派な横綱になってほしい」とも付け加えた。

なお、横綱誕生は17年初場所後の稀勢の里(現荒磯親方)以来、4年半ぶりで令和では初めて。外国出身力士としては曙、武蔵丸(以上米国)、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜(以上モンゴル)に続き7人目。照ノ富士は大関復帰を果たした5月の夏場所を、12勝3敗で2場所連続優勝。さきの名古屋場所は、千秋楽全勝対決で横綱白鵬に敗れ14勝1敗の優勝次点だった。