横綱照ノ富士(30=伊勢ケ浜)が「戦国場所」を制した。3敗で並んでいた隆の勝が敗れて後退。照ノ富士は結びで大関御嶽海を圧倒して寄り切り、3場所ぶり7度目の優勝を飾った。横綱昇進後、初の休場明けで初日に黒星。中日までに3敗と苦しんだが、終わってみれば見事に横綱の責務を果たした。

 

兄弟子の最後の晴れ舞台に、花を添える優勝となった。安治川親方(元関脇安美錦)の引退相撲が、場所後の29日に国技館で開催される。同親方は「場所前に(照ノ富士が)『優勝して花を添えたい』と言っていた。そんなこと考えなくていいんだけどね。そういう気持ちが、冗談でもうれしい」と柔和な笑みを見せた。くしくもこの日、伊勢ケ浜部屋の関取衆6人全員が勝った。錦富士は十両優勝で照ノ富士とアベックV。“チーム伊勢ケ浜”がもり立てた。

中日までに3敗を喫した横綱だったが、稽古場では常にリラックスした雰囲気を保っていたという。「(前半戦は)本人も『体が伸び上がっちゃう』と言っていたが、立て直したのはさすが」。休場した春場所後も休みなく稽古に励んできたという「そんな優しい部屋じゃないですからね」。古傷の両膝や、右かかとの治療に取り組む姿を、間近で見てきた。同親方は「苦しい経験を乗り越えてきた。その積み重ねだと思う」と敬意を示した。