郷土力士の活躍が、4年ぶりに行われた川崎巡業の花を添えた。十両の友風(28=二所ノ関)が29日、神奈川・川崎市とどろきアリーナでの春巡業に参加し、稽古、写真撮影やサイン会など精力的に行ってファンを楽しませた。右足の大けがで一時は序二段まで番付を落とした苦労人は、約3年ぶりに今年3月の春場所で再十両昇進。この日出迎えた大勢のファンの声援を力に変え、夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)でさらなる躍進を誓った。

「復活してくれてありがとう」「あきらめずに頑張ってくれてありがとう」…。地元の川崎市で行われた巡業に詰めかけたファンの言葉はどれも温かった。友風は「めげずに頑張ってきて良かった」とかみしめるように言った。

西前頭3枚目として臨んだ19年11月の九州場所。その2日目の琴勇輝戦で右膝に大けがを負い、日本相撲協会に「右膝関節脱臼(靱帯=じんたい=損傷を伴う)。治療期間は現在のところ未定」との診断書を提出し、6場所連続全休を余儀なくされた。周囲の支えもあって再起不能とさえも言われたけがから復活を果たし、21年春場所、序二段で復帰。尾車部屋閉鎖に伴い、元横綱稀勢の里が師匠を務める二所ノ関部屋に転属して関取の座を再びつかんだ。

春場所は8勝7敗と勝ち越しと3年半ぶりに関取として臨んだ場所で良いスタートを切ったように見えるが、本人は「反省の多い7敗でした」と満足はしていない。さらに白星を積み上げ、「早く幕内の上の方にいきたい」と意欲を見せた。【平山連】