三役で2場所連続2桁勝利の関脇大栄翔(29=追手風)が27日、名古屋市内で力士会後に取材に応じた。今年春場所は東小結で12勝、先場所は東関脇で10勝をあげた。初場所も西前頭筆頭で2桁10勝と安定して2桁白星を重ねている。

大関とりに向けて「前は夢のような地位だったが、手のかかるところまできている。上がりたいと心から思うし、自分の力を出し切れば上がれるんじゃないかと思う」。あえて意識を遠ざける力士もいる中、大栄翔は「意識してやらないと上がれない地位。自分は今年、30歳になる。そう長くは(相撲を)とれないし、気持ちを強く持って自分の力を100%出せるようにしたい」と言い切った。

2年前の初場所で幕内優勝を経験した。しかし、押し相撲の宿命か、成績は安定せず2桁勝利を続けられなかった。「全部とは言わないが、ほとんどが(土俵際での)逆転負け。今までは心のどこかで『力をセーブしたら勝てない』という思いがあったが、今はそこを調整できるようになってきた」と進化した。

星数としては11勝で、大関昇進の目安とされる三役で直前3場所の合計33勝に届く。大栄翔は「11番勝ちたいけど、勝とうとすればダメ。全部勝ちきる気持ちでやりたい」。先場所の霧島に続き、今場所の3関脇全員に大関昇進のチャンスがある。「上位陣は全員が意識する相手」というサバイバル戦に大栄翔は押し勝つ。【実藤健一】