大相撲秋場所(10日初日、東京・両国国技館)が迫る中でもまだまだ残暑が続く。厳しい暑さの中、親方衆の生活をのぞいてみると、涼を感じる癒やしがあった。その中身を「親方衆の癒やし」と題して全5回にわたって紹介する。2回目は浅香山親方(51=元大関魁皇)。

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まるでわが子のようだった。現役時代に怪力でならした元大関魁皇の浅香山親方(51)は、昨年末に病気のために天国へ旅立ったプードルのシェビーを思い出すと今も感傷的になる。自宅でくつろいでいる最中に寄ってきてはじゃれ合った。出かける時にはペット同伴可能かどうか調べて計画を立てた。「子どもがいなかったから余計にかわいくて、本当に癒やしでした」と振り返る。

妻の充子さんがペットショップにいたメスのプードルに一目ぼれして飼うことになったのは、35歳の頃だった。「犬中心の生活になると相撲に響くのではないか」と戒めたが、気が付けばどっぷりとハマった。現役時代、取組で敗れて落ち込んでも、自宅に帰るとつぶらな瞳で愛くるしい姿に気が休まった。

引退後に部屋を興して弟子の指導に当たる際も、犬との触れ合いが生きた。病弱なシェビーを日頃からいたわるように接した経験から、弟子にも体調が悪い時にはすぐに病院へ行くよう促す。「おかげで丸くなったかな」と笑う。

愛犬との別れから8カ月。今でも、「夢でも良いから会いたい」と思うことがある。現在飼っているのはシェビーの息子のフォード。「失うのはもう辛いからね。飼うのはこれが最後かな」。残された時間、共に生きる時間を大切にしていく。【平山連】

【連載】親方衆の癒やし/連載まとめ