大関貴景勝(27=常盤山)の3度目の優勝に始まり、霧島と豊昇龍の大関昇進など、今年も大相撲はさまざまな出来事が起きた。今年の全6場所で幕内を務めた、30人の力士を対象とした年末恒例の「第12回日刊スポーツ大相撲大賞」は、そんな陰で生まれた好記録や珍記録を表彰する。

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今年の全6場所の部屋別各段優勝回数と優勝ポイントで争う「ワンチーム賞」には、伊勢ケ浜部屋が輝いた。優勝回数は5回(照ノ富士=幕内、熱海富士=十両、聖富士=幕下と序二段、尊富士=序二段)、日刊スポーツの独自集計のポイント合算は19点。2位(優勝回数は安治川、ポイントは陸奥と常盤山=12点)以下に大差をつけ、ダントツでの受賞となった。

振り返って見ると、チーム伊勢ケ浜の活躍が各場所で際立つ。5月の夏場所では、横綱照ノ富士が4場所連続休場明けから復活優勝。名古屋で十両優勝した21歳熱海富士が返り入幕の秋、年納めの九州と2場所連続で優勝争いを演じた。さらに、19歳の聖富士は九州で7戦全勝で幕下優勝、24歳の尊富士は初土俵から所要8場所というスピードで来年1月の初場所新十両昇進を果たす。新たな顔ぶれが次々と出てくる理由は、角界随一の豊富な稽古量だ。

熱海富士は1日で50番以上相撲を取ることも数多くあるが、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は決して特別視しておらず「うちの子たちはみんな真面目に稽古しますから」と力説。厳しい環境が、部屋全体の底上げにつながっているのだろう。鍛錬した成果を来年も目いっぱい発揮してほしい。【平山連】