アーノルド・シュワルツェネッガーが7月30日に70歳の誕生日を迎えました。2003年から2011年にかけてカリフォルニア州知事を務めたシュワルツェネッガーは、退任後は俳優に復帰し、70歳になった今も現役バリバリで、傲慢な殺し屋を演じるアクションコメディ「Why We’re Killing Gunther」をはじめ、「ツインズ」(1988年)の続編「トリプレッツ」など発表されているだけでも5本の映画の公開を控える売れっ子です。ハリウッドでは80歳のモーガン・フリーマンと84歳のマイケル・ケイン、83歳のアラン・アーキンの3人が銀行強盗に扮するコメディ「ジーサンズ はじめての強盗」が今年大ヒットしましたが、70代、80代でも第一線で活躍するスターがたくさんいます。そんな元気いっぱいの現役高齢スターたちを紹介します。

 かつてシュワルツェネッガーとアクションスターの座を争っていたシルベスタ・スタローンも今では71歳。映画「ロッキー」シリーズの新たな物語を描き、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた「クリード チャンプを継ぐ男」(15年)の続編の製作が決まっているほか、「大脱出」(13年)など7本の映画が出演を控えています。

 「リベンジ・マッチ」(13年)ではスタローンと共にリングに上がる夢の競演を実現させたロバート・デ・ニーロも今年8月で74歳になります。スタローンやシュワルツェネッガーがアクションスターとしての地位を確立する中、演技派のスターとしての地位を守ってきたデ・ニーロは、ボクサーを演じた「レイジング・ブル」(80年)のために20キロの減量をするなど、徹底した役作りで知られています。73年の「ミーン・ストリート」以来「タクシードライバー」(76年)や「レイジング・ブル」(80年)など名作を共に作ってきたマーティン・スコセッシ監督と再びタッグを組む実在の殺し屋を主人公にした「アイリッシュマン」の公開を控えているほか、ベストセラー児童小説「The War With Grandpa」への出演も決まっています。

 2015年に公開された「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」で32年ぶりにハン・ソロ役に復帰したハリソン・フォードは、今年75歳になりましたが、まだまだ現役です。今年はSF映画の金字塔と言われる「ブレードランナー」(82年)の続編「ブレードランナー2049」が35年ぶりにスクリーンに戻ってくる他、「インディ・ジョーンズ」シリーズ第5弾となる最新作も2019年に公開予定です。プライベートでも飛行機の墜落事故から見事に復活し、今も現役もパイロットして操縦桿を握る日々でまったく衰えを感じさせません。

 80歳を過ぎても精力的に映画を作り続けているのは87歳のクリント・イーストウッド。ほぼ1年に1本のペースで監督として作品を世に送り出しているイーストウッドが現在取り組んでいるのは、15年にアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリス車内で発生した銃乱射事件を題材にしたもの。俳優としては「人生の特等席」(12年)を最後にスクリーンからは遠ざかっていますが、今年のカンヌ国際映画祭で俳優として銀幕に復帰する可能性を示唆しており、俳優としても引退はまだ決めていないようです。

 男優に比べて年を重ねると演じられる役が少なくなると言われる女優ですが、72歳にしてまだまだ活躍中なのがヘレン・ミレン。今年は「ワイルド・スピード ICE BREAK」に新キャストとして登場した他、「くるみ割り人形とねずみの王様」の映画版など数本の作品への出演が決まっています。「クィーン」(06年)でアカデミー賞主演女優賞など各映画賞を総なめにしたミレンは、幅広い役柄を見事に演じられる数少ない女優として今後も第一線での活躍が期待されています。

 他にも今夏公開された「トランスフォーマー」シリーズ最新作「トランスフォーマー/最後の騎士王」に参戦し、今秋公開される「マイティ・ソー バトルロイヤル」にも出演が決まっている79歳のアンソニー・ホプキンスや72歳のマイケル・ダグラスなどアラウンド70の俳優たちが元気にハリウッドで活躍中です。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)