第94回アカデミー賞の各部門の候補が、いよいよ現地時間8日朝(日本時間8日夜)に発表されます。

今年は濱口竜介監督の映画 「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞(旧外国語映画賞)と脚色賞にノミネートされることが確実視されていますが、他にも監督賞と作品賞へのノミネートも期待されており、実現すれば2000年に作品賞、監督賞、脚本賞、国際長 編映画賞の4冠を獲得した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」に次ぐ快挙となります。

今年から作品賞のノミネーション枠が例年の5~10作品から10作品に固定されることが決まり、投票数で上位10に入ることができれば「ドライブ・マイ・カー」にもノミネートのチャンスがあります。

「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督(21年12月23日撮影)
「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督(21年12月23日撮影)

2021年も依然としてコロナ禍の影響を受けたハリウッドでは、劇場公開と同時にストリーミング配信された作品も多く、ネットフリックスやアマゾンなど動画配信大手がどこまでノミネート数を伸ばすのかにも注目が集まっています。

そんな今年の主要部門のノミネーションはどうなるのか、「ドライブ・マイ・カー」のライバルになりそうな作品も交えて紹介します。

●作品賞

ノミネートが確実視されているのは、スティーブン・スピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」、ネットフリックスの「パワー・オブ・ザ・ドッグ」、北アイルランド出身のケネス・ブラナー監督の半自伝映画「ベルファスト」、1970年のカリフォルニアを舞台にした青春映画「リコリス・ピザ」、サンダンス映画祭で観客賞、審査員賞など史上最多4冠に輝いた「コーダ あいのうた」、未来の宇宙を舞台にしたSF大作「DUNE/デューン 砂の惑星」、レオナルド・ディカプリオとジェニファー・ローレンスがW主演する「ドント・ルック・アップ」、ウィル・スミス主演の「ドリームプラン」の8作品。

残り2枠は、米メディアの予想も割れており、「ドライブ・マイ・カー」はシェイクスピア劇が原作の「マクベス」、50年代の国民的ドラマに出演した夫婦を描く「愛すべき夫妻の秘密」、ギレルモ・デル・トロ監督の最新作「ナイトメア・アリー」などと候補入りを争っています。

●監督賞

「ウエスト・サイド・ストーリー」のスティーブン・スピルバーグ監督、「Dune/デューン 砂の惑星」のドゥニ・ビルヌーヴ監督、「リコリス・ピザ」のポール・トーマス・アンダーソン監督、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のジェーン・カンピオン監督のノミネートは堅いと見られています。

最後の1枠を巡って濱口監督と「ベルファスト」のケネス・ブラナー監督が争う様相を呈していますが、ロサンゼルス・タイムズ紙などは濱口監督のノミネートを予想しています。

●主演男優賞

大方の予想でトップ5に名を連ねているのは、以下の5人です。ベネディクト・カンバーバッチ(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)、ウィル・スミス(「ドリームプラン」)、アンドリュー・ガーフィールド(「tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!」)、ハビエル・バルデム(「愛すべき夫妻の秘密」)、デンゼル・ワシントン(「マクベス」)。次点予想には、レオナルド・ディカプリオ(「ドント・ルック・アップ」)、ブラッドリー・クーパー(「ナイトメア・アリー」)らの名前が挙がっていますが、ロサンゼルス・タイムズ紙が絶賛する「ドライブ・マイ・カー」の西島秀俊がサプライズでノミネートされたら面白いことになりそうです。

●主演女優賞

ニコール・キッドマン(「愛すべき夫妻の秘密」)、ペネロペ・クルス(「パラレル・マザーズ」)、オリビア・コールマン(「ロスト・ドーター」)、レディ・ガガ(「ハウス・オブ・グッチ」)のノミネートが予想されており、残り1枠に食い込めるのは「スペンサー ダイアナの決意」でダイアナ元妃を演じたクリステン・スチュワートか、「タミー・フェイの瞳」のジェシカ・チャステインか下馬評は割れています。次点のジェニファー・ハドソン(「リスペクト」)のサプライズノミネートもあるかもしれません。

●助演男優賞

ブラッドリー・クーパー(「リコリス・ピザ」)、コディ・スミット=マクフィー(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)、トロイ・コッツァー(「コーダ あいのうた」)、キアラン・ハインズ(「ベルファスト」)のノミネートが予想されており、残り1枠は「ハウス・オブ・グッチ」のジャレッド・レト、「僕を育ててくれたテンダー・バー」のベン・アフレック、「ベルファスト」のジェミー・ドーナンが競っています。

●助演女優賞

アリアナ・デボーズ(「ウエスト・サイド・ストーリー」)、キルスティン・ダンスト(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)、カトリーナ・バルフ(「ベルファスト」)のノミネートは堅く、他にはアーンジャニュー・エリス(「ドリームプラン」)、ケイト・ブランシェット(「ナイトメア・アリー」)、ルース・ネッガ(「PASSING -白い黒人-」)にもノミネートの可能性がありそうです。

●長編アニメ映画賞

2019年に「未来のミライ」で同賞にノミネートされた細田守監督の「竜とそばかすの姫」のノミネートも期待されますが、こちらは次点予想になっています。ノミネートが確実視されているのは、ディズニーの「ミラベルと魔法だらけの家」、「ミッチェル家とマシンの反乱」、デンマーク映画「フリー」、ピクサーの「あの夏のルカ」、で、「ラーヤと龍の王国」の代わりに「竜とそばかすの姫」を推すメディアもあります。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)