今月8日に96歳で死去した英国のエリザベス女王の国葬が、現地時間19日午前11時にロンドンのウェストミンスター寺院にて執り行われました。バイデン米大統領をはじめとする2000人以上の世界各国の首脳陣や王族と共に、日本からも天皇、皇后両陛下が参列し、最後の別れを告げました。

1952年に25歳で即位して以来、国内外から尊敬を集め、愛されてきた女王は、今年6月に在位70周年を迎えた「世界で最も有名な女性」として知られています。

英国エリザベス女王(ロイター)
英国エリザベス女王(ロイター)

英国史上最も在位期間が長い君主となったエリザベス女王を巡っては、その生涯や功績を知ることができる映画やドキュメンタリーが多く制作されていますが、世界中から惜しまれながら亡くなった女王の崩御に際し、今こそ観たいおすすめ映画やドラマを紹介します。

■「エリザベス 女王陛下の微笑み」(2022年)

映画「ノッティングヒルの恋人」(1999年)などで知られるロジャー・ミッシェル監督がメガホンを取り、1930年代から近年までのアーカイブ映像からエリザベス女王の足跡をたどったエリザベス女王初の長編ドキュメンタリー映画。

ビートルズやエルトン・ジョン、ジェームズ・ボンド役で知られるダニエル・クレイグら英国の著名人のほか、マリリン・モンローら豪華スーパースターも登場しており、これまであまり見る機会がなかった女王の素顔が見られます。一般的に想像される堅苦しいドキュメンタリー映画とは一線を画し、ポップとロックの名曲と共に女王の半生が映し出される誰もが楽しめる作品に仕上がっています。

■「クィーン」(2006年)

1997年に仏パリで交通事故死したダイアナ元妃を巡る王室の裏側を描いた作品。チャールズ皇太子(当時、現在の国王)と離婚して民間人に戻ったダイアナ元妃の事故死は、世界中に大きな衝撃を与えましたが、かねてより不仲説がうわさされた女王は当時、窮地に立たされたと言われています。

事故後も沈黙を貫き通そうとしたことで国民の不信を買い、苦しい立場に立たされ、苦悩するエリザベス女王という難役に挑んだのはヘレン・ミレンでした。ミレンはその演技が絶賛され、アカデミー賞主演女優賞に輝いた他、各映画批評家賞や英国アカデミー賞など多く賞を受賞しました。

■「ザ・クラウン」(2016年~)

ネットフリックスで2016年からシーズン1の配信がスタートした「ザ・クラウン」は、昨年のエミー賞ドラマ部門で7冠を達成した人気シリーズです。歴史的事実に基づいたストーリーで、実際の王室が忠実に再現されていると言われています。そのため、女王の崩御に伴って視聴者数が倍増していることが伝えられています。

シーズン1と2で若きエリザベス女王を演じたのは、この作品で一躍注目を集めることとなったクレア・フォイ。2019年に配信されたシーズン3からは、一転して演技派のオリヴィア・コールマンが女王を演じています。そして、11月に配信が予定されている90年代が描かれるシーズン5では、「ハリー・ポッター」シリーズなどで知られるイメルダ・スタウントンが女王を演じることになっています。

■「英国王のスピーチ」(2010年)

アカデミー賞作品賞など4部門を受賞した「英国王のスピーチ」は、吃音に悩まされたエリザベス女王の父ジョージ6世が主人公。女王の母エリザベス王妃をヘレナ・ボナム・カーターが演じ、幼少期の女王も登場しています。

オスカー12部門にノミネートされた本作は、珍しく女王が観て気に入ったと王室が公式にコメントを発表したことでも当時話題になりました。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)