ROUND.10が3月10日に行われ、Valuence INFINITIESのSPダンサーとしてブレイキンのパリ五輪代表候補のHIRO10(ひろと)がDリーグに初登場した。INFINITIESの今回の作品を手掛けた殿岡(SHAKE DANCE STUDIO)がチームと話し合う中で「パワームーブが必要」と人選。もともとパワームーブが武器のチームをさらに加速させるインパクトを求めて、全日本ブレイキン選手権で2位となったHIRO10に依頼した。春からは8月のパリ五輪に向けて予選シリーズが続く。周囲は「何で今、Dリーグ?」と疑問の声が相次いだという。HIRO10は「楽しそうだし、予定を確認したら2週間空いていたので参加しました」と快諾した。

 「HIPHOP ORCHESTRA」をテーマにした作品はヒップホップにくさびを打ち込むように、HIRO10のブレイキンがさく裂。中盤にはともに世界を転戦した日本屈指のB BOY TSUKKI(17)と格闘するように絡む場面も。HIRO10の参戦が発表されてからSNS上でも「ヒロトとツッキー合体!」と期待された顔合わせだけに、客席のボルテージがさらに上がった。最後はトーマスからエアフライという強烈なスピンで盛り上げた。パワーアップに成功したINFINITIESは、カラフルに南国ムードを演出したMedical Concierge I’moonをスイープで破り、3位に浮上した。

 最後の連続技についてメンバーのMAKO(30)は「僕が3点なら2万点のできです。体操なら『シライ』(難易度F)です!」と独特の表現で解説した。このチームを包む明るさが、反対の声を押し切って参加したHIRO10を勇気づけた。「みんなも受け入れてくれて、練習も楽しくてやりやすかった。SPなのにメンバーみたいなファミリー感がありました。スイープうれしいです」と喜んだ。MAKOも「壁を作るタイプじゃないし、いつもと同じ雰囲気でできました。TSUKKIとはまた違う世界基準を目の前で見せてもらいました」とともに充実の2週間を振り返った。

 元日、故郷の石川県で能登半島地震が発生した。穴水町に住む祖母が避難所に身を寄せた。大変な年明けとなったが、2月に全日本ブレイキン選手権で活躍。NHKの生中継を見守った故郷の人たちからも祝福の声が届いた。「自分が結果出すことで、元気になってもらえる。いいモチベーションになっています」。

 目の前にパリ五輪予選が迫る。Dリーグのための2週間が無駄ではなかったと言い切る。「隙間を見つけて、いろんな人と練習ができて、いろんなアイデアにも出会って、オリンピックにつながる時間になったと思います。来年、お誘いがあればまた ! 」。昨季もすでに日本代表を決めているShigekixがKOSÉ 8ROCKSのSPダンサーとしてステージに上がった。世界基準のブレイキンは、INFINITIESだけでなく、Dリーグのパワームーブになっている。【特別編集委員・久我悟】

日刊スポーツプレミアムでは、ROUND.10の激戦の模様をリポートしています。もっと詳しい日刊スポーツプレミアムはこちら>>https://www.nikkansports.com/premium/entertainment/news/202403070000854.html

強くてスピードのあるHIRO10のダンス ©D.LEAGUE 23-24
強くてスピードのあるHIRO10のダンス ©D.LEAGUE 23-24
メンバーとの意気もぴったりだった(撮影・久我悟)
メンバーとの意気もぴったりだった(撮影・久我悟)
HIRO10(左から3人目)はTSUKKIに肩を抱かれ、スイープを喜んだ(撮影・久我悟)
HIRO10(左から3人目)はTSUKKIに肩を抱かれ、スイープを喜んだ(撮影・久我悟)
TSUKKI(右)とHIRO10の〝格闘〟も大きな見せ場だった ©D.LEAGUE 23-24
TSUKKI(右)とHIRO10の〝格闘〟も大きな見せ場だった ©D.LEAGUE 23-24
負けじとValuence INFINITIESのメンバーもダイナミックなダンスを披露して3位に浮上した ©D.LEAGUE 23-24
負けじとValuence INFINITIESのメンバーもダイナミックなダンスを披露して3位に浮上した ©D.LEAGUE 23-24