「初春歌舞伎」会見に登場した市川海老蔵(中央)と麗禾ちゃん(左)と勸玄くん(2018年11月22日撮影))
「初春歌舞伎」会見に登場した市川海老蔵(中央)と麗禾ちゃん(左)と勸玄くん(2018年11月22日撮影))

市川海老蔵(41)一家3人が正月の東京・新橋演舞場「初春歌舞伎公演」で共演する。長女の麗禾ちゃん(7)は今年1月に父海老蔵と演舞場に出ているが、親子3人そろっての演舞場出演は初めてとなる。

先日の会見には麗禾ちゃん、勸玄くんも登場。公の場で話すのは初めての麗禾ちゃんは「(舞台に)立つのが楽しみ」と話し、弟との共演について聞かれると、「ものすごくうれしい」と笑顔を見せ、勸玄くんも「ものすごくうれしいです」とはにかんだ。そんな2人に海老蔵も「私よりはやる気がある状態なのかなっていう感じですかね」と頼もしげにみつめた。

妻であり、母である麻央さんが亡くなって1年半がたった。海老蔵の再婚について聞かれることも多くなったが、海老蔵一家には深いきずながあり、その中心に、今も麻央さんがいる。11月の海老蔵のブログに、白狐のお面をつけた子供たちの写真が掲載された。「ママが買ってくれたんだよね。勸玄が白狐やると知り、いち早く注文して来たのがこのお面」と説明した。

勸玄くんが昨年7月の歌舞伎座で「駄右衛門花御所異聞」の白狐を演じることが決まった直後、病床の麻央さんが注文し、取り寄せた。麻央さんは歌舞伎史上最年少4歳での宙乗りを成功させたわが子の姿を見ることなく、その1カ月前に亡くなった。海老蔵はお面について「二人にとり最高の愛の形として残っています。今二人にすぐにその思いを届けられる人はいない。男の私にはそんなに細かく気の利いたことが出来ない、こまったな」と、今も抱く大きな喪失感をあらためて明かした。

そんな海老蔵にとって、再婚はまだ考えられないだろう。2人の子供と自分の舞台で共演するのも、母のいない2人への親心だろう。多忙を極める海老蔵が家にいる時間は限られる。ただ、舞台で共演すれば、楽屋ではいつも一緒にいることができる。1月の公演では「幡随院長兵衛」「俊寛」「鏡獅子」など5演目に出演するハードさだが、海老蔵は「両方を見ないといけない。自分のこともやるわけですから。気の遣い方が、3倍ではなくて10倍くらいになる」と言いながらも、舞台に出たいという子供たちの思いを優先した。

そんな海老蔵に、麗禾ちゃんは「すごいと思います」と褒めれば、勸玄くんも「頑張っていると思います」と認めている。最後に2人は、成田屋に受け継がれる歌舞伎十八番の「外郎売」の長台詞を1分にわたって披露した。「外郎売」は海老蔵は7歳で初舞台を踏んだ時に演じた演目でもある。20年に7歳になる勸玄くんが、歌舞伎座で演じる姿が見られるかもしれません。【林尚之】