沖縄といえば、美しいビーチでの海水浴やマリンレジャーのイメージが強い。

実際、大学時代から“琉球研究”を続けている沖縄好きの筆者も夏場に本島エリアに行った際にはほぼ確実に、驚異の透明度を誇る水納島(みんなじま)の「水納ビーチ」、そして世界的にも美しさが有名な慶良間諸島・座間味島の「古座間味(ふるざまみ)ビーチ」、同諸島・渡嘉敷島の「阿波連ビーチ」あたりは確実に訪れ、魚類とたわむれる。

ちなみに八重山諸島に渡航した場合は有人島最南端・波照間島が誇る圧巻の「ニシ浜ビーチ」、宮古諸島の場合は東洋一の美しさとも称される「与那覇前浜ビーチ」は外せない。

今年も安定の透明度を誇っていた慶良間諸島・座間味島「古座間味ビーチ」の美しすぎる“ケラマブルー”…実際はもっと美しいのだがスマホ撮影の限界だ
今年も安定の透明度を誇っていた慶良間諸島・座間味島「古座間味ビーチ」の美しすぎる“ケラマブルー”…実際はもっと美しいのだがスマホ撮影の限界だ

ただ、さすがに10月中旬以降はそれらのビーチでの海水浴は厳しくなる。そこでオフシーズンに沖縄旅行に訪れる人に筆者がおすすめしたいのが、沖縄の「日帰り温泉めぐり」なのである。

沖縄を紹介するガイドブックで、温泉に焦点を当て特集したものは少ない印象だが、沖縄本島には「極上」とか「絶景」という表現をしても大げさではない、なかなかすばらしい温泉がいくつも湧いている。、温泉をはしごするだけでも十分、沖縄旅行は楽しめるというわけだ。

実は温泉マニアでもある筆者、“本業”の芸能デスク業務に加え、日刊スポーツ本紙のレジャー面(宅配版)で温泉連載ページの取材&執筆を担当している“温泉ライター”もしている。先日の同連載でも沖縄の日帰り温泉を特集したばかりだ。

紙面と一部かぶるが、恐らく当該記事を読んでいない人が99・5%以上にのぼることが想定されるため、気にせず進めたい。

というわけで今回は常に「いい湯」を求め、芸能デスク非番の日には全国を徘徊している筆者がうなった、沖縄本島の「極上日帰り温泉」をいくつか紹介してみたい。

・「琉球温泉 龍神の湯」(豊見城市)

→那覇空港の南側にあり、本島と道路でつながっている小さな島「瀬長島」に湧く。「琉球温泉 瀬長島ホテル」にあるのだが、目玉はオーシャンビューの「立ち湯露天風呂」で決まり。体温に近い「ぬる湯」がなみなみと湧く、深さ120センチの湯船に立って漬かるのだが、この状況が、重力と温感から“解放”されたかのような、いわゆる「不感温浴」と呼ばれる状況に達することができるのだ。

目の前にはコバルトブルーの海が広がり、慶良間諸島まで見え、飛行機の離発着音が心地よいBGMとして響くから、確実に「最強のリラクセーション」が得られる。永久に入り続けたくなる湯。泉質はナトリウム-塩化物強塩泉。

「琉球温泉 龍神の湯」の露天立ち湯。宇宙遊泳気分に浸りながらの絶景オーシャンビュー…もはや永久に入っていられる勢い
「琉球温泉 龍神の湯」の露天立ち湯。宇宙遊泳気分に浸りながらの絶景オーシャンビュー…もはや永久に入っていられる勢い

・「伊計島温泉~黒潮の湯~」(うるま市)

→本島東部の与勝半島沖にある「車で行ける離島」こと、伊計(いけい)島(周囲約7・5キロ)に湧く。沖縄の“穴場秘湯”と言っていいだろう。

まず、伊計島までの行程が楽しい。与勝半島から伸び、美しい海のど真ん中をつっきり、平安座(へんざ)島まで達する全長4・75キロの「海中道路」の驚異的な開放感は、国内におけるドライブの中でも屈指。平安座島に渡れば、あとは宮城島→伊計島とすべて道でつながっている。

伊計島温泉はホテル「AJリゾートアイランド伊計島」にある。濃厚な温泉成分を含む褐色の湯が湧き、気泡が噴出している円形の大型露天風呂に漬かり、離島特有の、どこまでも青い空と濃い雲を見上げているとせわしない時間感覚が薄らいでいく。離島特有の「ゆっくり時間が流れる感覚」にも浸りつつ都会から超脱した“別世界”気分を味わえる。泉質はナトリウム-塩化物強塩泉。

離島に湧く「伊計島温泉~黒潮の湯~」の露天風呂に漬かっていると時間がゆっくり流れる“別世界”気分に。東京で何が起きていようともはやどうでもいい
離島に湧く「伊計島温泉~黒潮の湯~」の露天風呂に漬かっていると時間がゆっくり流れる“別世界”気分に。東京で何が起きていようともはやどうでもいい

・「ジュラ紀温泉『美ら海の湯』」(本部町)

→沖縄北部・本部半島の代表的観光スポット「沖縄美ら海水族館」に隣接する場所に建つ「ホテル オリオン モトブ リゾート&スパ」にあるのだが、5階という高い場所にあるだけに、眺望が抜群なのだ。2億年以上前の「ジュラ紀」の地層から湧くという褐色の湯に漬かると心底癒やされるのだが、何と言っても圧巻は、すぐ目の前に「エメラルドビーチ」など美しい海が広がるだけでなく、「伊江島」が“かぶりつき”で見られることか。

伊江島には、中心部に、突起物のような独特の形状で知られる172メートルの山で、同島の聖地かつ象徴でもある「城山(ぐすくやま)」がそびえ、温泉を満喫しつつ、それが拝めるから、うなるのみ。泉質はナトリウム-塩化物強塩泉。

「ジュラ紀温泉『美ら海の湯』」から見える伊江島と聖地「城山(ぐすくやま)」。思わず拝んでしまった
「ジュラ紀温泉『美ら海の湯』」から見える伊江島と聖地「城山(ぐすくやま)」。思わず拝んでしまった

・「天然温泉さしきの『猿人の湯』」(南城市)

→「猿人」がいた時代の太古の化石海水が含まれていることから「猿人の湯」と呼ぶという。「ユインチホテル南城」にあるのだが、「佐敷の丘」という高台にあるため、ここも眺望が抜群。内湯なのだが、南城市の街並みの向こうには広く、青い太平洋が広い窓からどーんと見渡せ、有無を言わせない圧倒的絶景。文句のつけようがない。湯もさまざまな成分を含んだ黄金色の“効く”濃厚湯が源泉掛け流しで湧いており、ここも「いつまでも入っていたくなる湯」と言える。泉質はナトリウム-塩化物強塩泉。

沖縄本島にはこのほか、 

・「三重城温泉 海人の湯」「三重城温泉 島人の湯」(那覇市)

・「エナジック天然温泉アロマ」(宜野湾市)

・「テルメヴィラ ちゅらーゆ」(北谷町)

・「天然温泉『りっかりっか湯』」(那覇市)

・「浦添の湯」(浦添市)

など多数の温泉施設が営業している。

沖縄本島以外の離島だと、宮古島には「シギラ黄金温泉」「宮古島温泉」がある。また、西表島にはかつて「西表島ジャングルホテル パイヌマヤ」に“日本最南端の温泉”をうたっていた「西表島温泉」があり筆者も1度入浴したことがあるが、残念なことに12年ごろ、温泉部分は閉鎖したらしい。

ただ、同じ西表島には17年11月、リゾートホテル「ラ・ティーダ西表リゾート」の中に“日本最南端最西端の湯”とうたう、「西表島温泉・カンパネルラの湯」がオープンしたらしく(※日帰り利用できるかどうかなど詳細未確認)、大至急突撃する必要を強く感じている。

総評→温泉について語り出すと原稿も会話もやたら長くなるのが筆者の昔からの悪い癖で、周囲に嫌がられているのだが、これは恐らく永久に治らないだろう。【文化社会部・Hデスク】