殺してはいけない殺し屋。そんな設定にまず引き込まれる。

岡田准一(38)演じる主人公アキラはどんな相手でも6秒以内に殺せる“ファブル”と呼ばれる殺し屋。そんな殺し屋に対するボスの命令は「1年間人を殺すな。殺したら殺す」。初めての一般社会の生活になじもうとするが、普通を知らないアキラの振る舞いには思わず笑いがこぼれる。アクションシーンとの対比も1つのスパイスだ。

今、最もアクションがキレている俳優と言っても過言ではない岡田。そんな岡田ありきで製作された作品は単なるアクション映画に終わらず、そこには人間ドラマがしっかり描かれている。

共演メンバーには木村文乃、山本美月、佐藤浩市、安田顕、柳楽優弥、向井理ら、いずれも主役級の豪華キャストが名を連ねる。柳楽のワルぶりには思わず悪態をつきたくなる。その柳楽をかわいがる安田は、組をまとめる立場としての苦悩を見事に演じきっている。そして、佐藤浩市のボス感は圧巻だ。

緊張と緩和。登場人物の人間ドラマ。そのバランスを高次元で実現させた世界基準のエンターテインメント作品だ。【川田和博】

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