50周年というから紛れもない国民的コミックである。幼年期に親しんだ大人世代に向けた6年前のパート1に続き、大人になったのび太の結婚式が主舞台だ。

22世紀から来た猫型ロボットの「特技」はみんなが知っている強みで、時空を超えた物語は説明を省いてスピーディーに進行する。

劇中のタイムマシンで子どもから大人までを俯瞰(ふかん)させられると、のび太はダメッぷりばかりが印象に残り、ジャイアンとスネ夫は意外にいいヤツに見えてくる。陰影の付いた3Dで、昭和の風景も懐かしく仕上がっている。

シリーズの名作として知られる「おばあちゃんのおもいで」をベースに、しずかちゃんとの結婚に至る3代の思いが込められて、前作に続く八木竜一=山崎貴の共同監督コンビは、幅広い世代の心に刺さる仕掛けを用意している。

小学館の学年誌で連載が始まった頃はすでに中学生だったので、わが子が親しんだ30年前からの付き合いだが、そんな私にもウルッとくる場面が数カ所ある。

大人になったのび太の声は前作から続き、CMでもおなじみの妻夫木聡。宮本信子のおばあちゃんの声は柔らかくて心地いい。

【相原斎】(このコラムの更新は毎週日曜日です)