「黄昏」で老夫婦を演じたヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンがそろってアカデミー主演賞に輝いたのは40年前のことだ。76歳と74歳。主演俳優は若者からせいぜい壮年までという当時のイメージを覆した。今作の主演トリオは3歳増しの平均78歳。しかも全然たそがれていない。

オスカーを夢見るB級プロデューサー(ロバート・デニーロ)は映画マニアのギャング(モーガン・フリーマン)からの借金で首が回らない。窮余の一策が保険金詐欺。死亡事故で撮影中止となれば、多額の保険金が手に入る。死のワナとなるスタントだらけの西部劇に引っ張り出されたのが、自殺願望のある往年のスター(トミー・リー・ジョーンズ)だった。

ところが、強運の元スターは次々と危険なスタントをこなし「神シーン」を生み出していく。「アカデミー賞級の作品になるかもしれない」。プロデューサーが心変わりした頃、保険金詐欺の共犯でもあるギャングが撮影現場に現れて…。

とぼけたデニーロ、目が怖いフリーマン、死の淵にも動じないジョーンズ。巧者3人がタフな老人を楽しそうに競い合い、現場の笑い声が聞こえるようだ。【相原斎】

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