59年前の東宝「キングコング対ゴジラ」は、この4年前に開催された力道山とルー・テーズの日米プロレス対決をヒントにしたといわれる。どっちが勝つのか、どっちが強いのか。当時小1の私はワクワク感で胸がいっぱいだった。

ハリウッド版は、この対決モノの原点の底流にあった自然と科学の在り方を問うテーマを踏襲しつつ、地球の存亡をかけたよりダイナミックな展開となっている。狂言回しの若者たちのオタクっぽいキャラも立っていて、怪獣の恐怖を身近に感じさせつつ、ゴジラやコングの怒りの真相を解き明かす役割も彼らが担う。

一昨年の前作「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」で人類を壊滅から救ったゴジラが、ハイテク企業エイペックスに突然襲いかかるところから映画は始まる。おなじみの対怪獣特務機関モナークは、巨大施設で管理するコングによるゴジラ制圧を試みるが…。

アダム・ウィンガード監督の怪獣映画愛は半端ない。随所に往年の東宝作品へのオマージュがあり、「怪獣の物悲しさ」もほんのり浮かび上がる。オリジナル版とはまったく違う結末に米国映画初出演の小栗旬がしっかりと絡んでいる。【相原斎】

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