目を引くタイトルである。突然、霊が見えるようになった主人公の女子高生・四谷みこ、そのものを表しているが、みこは恐れおののくも、霊から逃げたり立ち向かったりはせず、何も見えていないかのようにスルーする。「見えないふりする子ちゃん」とでもすれば、より正確だろうか。
みこを演じる原菜乃華は、メジャー映画で初の単独主演を張った。久間田琳加演じる親友との、和気あいあいとした高校生活は楽しく描かれている。一方で、山下幸輝演じる生徒会長に霊視能力があることを見抜かれ、なえなの演じる霊感がある同級生も接近。日常生活を守るために霊視能力をひた隠しにしていても、周囲に霊に絡むものが集まってきてしまい対処せざるを得なくなる。そんなみこの心の機微を、原は繊細に演じ分ける。しばしばアップになる表情は印象的だ。
もう1人、印象的なのが、みこの父を演じた滝藤賢一だ。高岡早紀演じる妻に仕事を任せ一見、専業主夫のように見えるが、食事はみこが作っている。家族は語りかけても関心を示さず、まるで空気のような存在だ。そんな思春期の娘と父との間では、ありそうな関係性が、実は何だったのか? ということが明らかになる終盤のシーンは大きな見どころだ。23年の映画「ミステリと言う勿れ」以来2度目の共演で再び親子を演じた原と滝藤に、胸の奥に抱えていた感情を妻として、母としてさらけ出した高岡が絡む当該シーンは、作品のグレードを1段階も、2段階も上げる。公開前から「期待した以上に面白かった」との声が多いのも納得の1本だ。【村上幸将】
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