今回は新人公演に主演する2人にスポットを当てる。7年目を迎える花組の“筋肉番長”こと、水美舞斗が「ミュージカル カリスタの海に抱かれて」(東京宝塚劇場=5月28日)で初主演する。月組の暁千里は「1789-バスティーユの恋人たち-」(東京宝塚劇場=7月2日)で1年ぶり2回目の大役を務める。

<「踊り方間違えたかな」/花組・水美舞斗>

 水美は同組の柚香光、星組の礼真琴らバウ主演経験者もいる95期。遅ればせながらの“初センター”も、ルックスは堂々たるもの。彫刻のような彫り深い美しい顔立ち、筋肉質なボディー。立ち姿が映える。「私、緊張する方ですし、大きい方ではないですが(自慢の腕を見せ)腕相撲は花組で敵無し。筋トレで鍛えているわけではないし、子供の頃はずっとバレエ。踊り方間違えたのかな(笑い)。男役をやっていて自然に筋肉がつきました」

 落ち着いた存在感は“筋肉ボディー”のおかげか、男役として大きな武器だ。前作「エリザベート」新人公演では、セリフや歌で物語を進行するルキーニ役を好演した。

 「(花組トップの)明日海(りお)さんは歌がお上手で、歌が多い花組になっていくのかと感じていて、頑張って歌を伸ばしたい」

 今作は、故郷の島を独立に導こうとする仏軍青年将校の闘いと愛をつづる。けいこ場で明日海から金言を得て、その姿から学ぶ。

 「本当に真ん中に立つ方。大きく見えるし、キラキラしている。明日海さんのように立てたら…」

 愛称「マイティー」は、舞斗(まいと)からの派生で「オールマイティーみたい」とお気に入り。「いろんなカラーに染まって、いろんなお芝居ができるように」。真っ白なキャンバスにさまざまな色を重ねていく。

 ◆ミュージカル「カリスタの海に抱かれて」 「ふたりっ子」「功名が辻」などを手掛けた大石静氏の書き下ろし。地中海のカリスタ島を統治するフランス軍将校として、故郷に戻ったシャルルの闘い、島の女アリシアとの愛を描く。

 ☆水美舞斗(みなみ・まいと)6月28日、大阪府生まれ。09年「Amour それは…」で初舞台。花組配属。昨年「エリザベート」新人公演でルキーニ。同期に月組トップ娘役愛希れいか、宙組同の実咲凜音ら。身長170センチ。愛称「みなみ」「マイティー」。

<南海の最多勝投手 父・山内氏譲りの肩幅武器/月組・暁千里>

 暁は98期首席で入団から4年目に入った。

 「1年前は芝居が好きじゃなかったんですけど、今は好きになりました。歌が多い芝居なので、歌も感情をのせて歌えるように」

 運動神経の良さを生かしたダンスが武器。芝居や歌への取り組みも変わった。仏ミュージカルの日本初演となる「1789-」は仏革命を舞台に闘士の生きざま、宮殿内のドラマを描く。トップ龍真咲主演の本公演では、王妃の“恋人”フェルゼン役だ。

 「今回は『ちょっと間抜けなフェルゼン』でいいらしい。(演出の)小池(修一郎)先生からも『そこ(間抜け)は出ています』と言われています(笑い)」

 日常生活でも、芝居に生かす想像力を働かせる。目指す男役像を模索中だ。

 「顔は赤ちゃんみたいと言われますが、肩幅が広く体格がいい。男らしい男役になりたいし、顔とのギャップも生かしていきたい」

 父はプロ野球南海の最多勝投手、山内和宏氏。父親譲りなのか「じゃまだよ」と同期からいじられる肩幅は、男役として大きな武器となる。【村上久美子】

 ◆スペクタクル・ミュージカル「1789-バスティーユの恋人たち-」 12年にパリで初演。以降、仏国内で再演が重ねられたヒット作を、小池修一郎氏が潤色・演出し、日本で初演。仏革命に翻弄(ほんろう)された人々を描くフレンチ・ロック・ミュージカル。

 ☆暁千星(あかつき・ちせい)9月14日、広島県福山市生まれ。12年4月「華やかなりし日々/クライマックス」で初舞台。月組配属。13年、阪急阪神の初詣ポスターモデル。14年4月「明日への指針」新人公演で初主演。特技はバレーボール。趣味は「寝る」「食べる」。好物は肉、ギョーザ。身長172センチ。血液型A。愛称「ARI」。

父譲りの運動神経の良さで新人公演の主演を張る暁千星(撮影・宮崎幸一)
父譲りの運動神経の良さで新人公演の主演を張る暁千星(撮影・宮崎幸一)