星組トップ紅(くれない)ゆずると、相手娘役綺咲愛里(きさき・あいり)の退団公演「GOD OF STARS-食聖-」「エクレール・ブリアン」は、12日に兵庫・宝塚大劇場で開幕(8月19日まで)する。新人公演は4年目の天飛華音(あまと・かのん)が初主演する。宝塚は7月30日、東京は9月19日。

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初々しさと、初主演への覚悟が同居する。「(本役のトップ)紅さんの退団公演で大きな役目。たいへん驚き、慌てて、自分が真ん中に立つとは想像ができない」。そう言いつつ、続けた。「でもセンターにふさわしい実力を。紅さんは発想力が豊か。どんどんアイデアが出てくる。私は、頭が堅いと…」。稽古場で試行錯誤し、役作りを重ねる紅に強くあこがれる。

軽妙な芝居運びに定評のある紅へのあて書き。大阪出身トップならではのコメディーの間も難しい。

「紅さんは一日中、疲れた姿を見せない。(主人公を)すごく自然な“オレ様”で演じていて。私は、恥ずかしいと思っちゃう」

大劇場公演の前作は雪組。その新人公演に主演した彩海せらは同期で同郷、有名アイドルや女優を多数輩出した同じスクールの出身だ。父、母ともに宝塚ファンで、小学時代に鹿児島から兵庫まで観劇に。「最初の芝居を見てすぐ『ここに入る』と思いました」。スクールで受験に備えた。

「お芝居が好き。歌にも踊りにも、心が表れると思う。技術はもちろんですが(本番で発揮できる)精神力を磨きたい。舞台へ出る前の心の持って行き方も考えるように。人間性も磨いて、内面からかっこよさが出せる男役になりたい」

新人公演ヒロインは、次期トップ娘役の同期で首席入団の舞空瞳。「もともと仲が良かった。心強い。トップ(娘役)になったら組むことがないでしょうし、いい思い出になります」。

新入団105期生も配属され、入団前から注目された稀惺(きしょう)かずとも星組の後輩になった。

「稽古場でも下級生の人数が増え、新公学年でも真ん中になってきている。同期と切磋琢磨(せっさたくま)して、頑張りたい」

先に主演した雪組の彩海とは初主演を喜び合い、刺激にする。すでにトップ娘役内定を出した102期。劇団の将来を担う世代になるべく、個々が技を磨く。

☆天飛華音(あまと・かのん)2月9日、鹿児島市生まれ。16年3月入団。星組配属。昨春、落語を題材にした「ANOTHER WORLD」新人公演で、2番手役に抜てき。同秋、台湾公演に出演。身長171センチ。愛称「カノン」。