【パリ4日(日本時間5日)=近藤由美子】YOSHIKIが、パリ郊外で行われたジャパンエキスポに出演し、X JAPANのオリジナルアルバムを20年ぶりにリリースすると発表した。取材では、なでしこジャパンのサッカー女子W杯決勝戦を前に、世界を舞台に戦うYOSHIKI流戦術を披露。「努力の神様はいる」とし、なでしこ世界一を予想した。

 今年で16回目のジャパンエキスポはアニメ、ゲームなど日本文化を紹介する博覧会。コスプレしたパリっ子ら約1万5000人が特別ゲストのYOSHIKIに歓声を上げた。10年から開始した世界ツアーで、フランスでもX JAPANの知名度は抜群。YOSHIKIは流ちょうな英語で高らかに、約20年ぶり5枚目のオリジナルアルバムを来年3月11日に世界でリリースと発表した。

 翌12日に欧州音楽の聖地、ロンドン・ウェンブリーアリーナで発売記念公演を開催することも明かした。「日本を活気づける意味でも、本当に良いかなと思っています」。リリース日は東日本大震災発生から5年の節目でもある。

 同作は、97年に1度解散したX JAPANにとって07年の再始動後初のオリジナルアルバム。納得できる形までに9年間を費やした。収録予定の約10曲は9割が英語詞で、すべて新曲だ。「本当の意味で世界を狙えるアルバムになる。グラミー賞も意識していないわけではないです」。

 世界規模で活動する立場から、なでしこの奮闘に注目している。「すごく感銘を受けるし、刺激を受けます」。イングランドのオウンゴールで勝負が決した準決勝もテレビで見ていた。「努力の神様はいるんだなと思いました。陰の努力をしてきた結果、世界の頂点を取れるのでは」。自身も現在、PR活動に奮闘中。約100媒体の取材を受けるべく、欧州4都市を回っており、「世界を知ること、自信を持つこと、あきらめないこと、地道な努力だと思いますから」と話す。

 実はサッカー経験者だ。中学時代、ブラスバンド部とサッカー部の掛け持ちで、ポジションはMF。「すぐ人の足を蹴って、レッドカードのオンパレードでしたけどね。サッカーは大好き。でも、向いてないなと思いました」。X JAPANのプレースタイルについては「全員がFWで攻撃あるのみ。攻撃は最大の防御です」と解説した。

 Xとなでしこ。ともにJAPANを背負うことに気づくと、「ウチのバンド、すごい名前だな」と照れた。音楽界の日本代表も今、頂点を目指している。

 ◆ウェンブリーアリーナ 1934年に建設され、48年、12年のロンドン五輪でも使用された屋内競技場。「サッカーの聖地」と知られるウェンブリー・スタジアムと同様、ロンドン・ウェンブリーにある。「欧州音楽の聖地」と称され、ザ・ビートルズ、マドンナ、ビヨンセら、数々の世界的アーティストが公演を開催。日本のアーティストが単独公演を行うのは初めてになる。X JAPANは14年に「米国音楽の聖地」マディソン・スクエア・ガーデンでも公演を実現しており、YOSHIKIは「また歴史に刻める」と意気込んでいる。