松嶋菜々子(42)が等身大のアラフォー女性を演じている。3年ぶりの連続ドラマ主演となるフジテレビ系「営業部長 吉良奈津子」(木曜午後10時)が放送中。演じているヒロインは家庭と仕事の両立に奮闘しているが、これまでのキャリアにはない、自分の素顔が演技に反映されているという。転機となる作品について語った。

 ヒロイン奈津子は、かつてすご腕広告ウーマンとして活躍し、結婚と出産を経て3年ぶりに復職した女性だ。松嶋も私生活では12歳と8歳の娘2人の母親。ドラマの中で見せる母親ぶりが、自分と重なることもあるという。「保育園の送り迎えの場面が多いんです。他のママさんへのあいさつの仕方は、完全に素に近くなってしまってます。頭を下げる角度、その瞬間の笑顔だったり。こういう感覚は初めてです。これでいいのかなって思いながら(演じています)」。

 実際に母親だから、演技がリアルになり過ぎて、“注文”が入る場合もある。「仕事に出掛ける時、子どもに後ろ髪を引かれる感じも重なりますね。頑張って笑顔を作り、不安なのですが『行ってきます』や『行ってらっしゃい』を言うんです。これはただ(私生活でもある光景なので収録でも)結構ドーンと構え過ぎて、監督から『もうちょっと慌てる感じで』と言われちゃいました」と笑う。

 収録現場では、息子役の高橋幸之介君(4)にもなつかれている。「毎回『奈津子さんかわいい』って言ってくれるんです。娘に言われるのと違うキュンがありました。『ありがとう』って返しちゃいます」。

 女優としては、96年NHK連続テレビ小説「ひまわり」のヒロインに抜てきされて一躍注目された。その後は「GTO」「魔女の条件」「救命病棟24時」「氷の世界」「やまとなでしこ」など主演ドラマが立て続けにヒット。NHK大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」にも主演し、名実ともに日本を代表する女優として活躍した。出産を経て仕事復帰した11年の日本テレビ系「家政婦のミタ」が最終回で最高視聴率40・0%を記録し、存在感を示した。

 これまでのヒットドラマはいずれも実際の自分のイメージと距離がある設定や性格だったが、今回は「素の自分が、どこかに生かされるお芝居になっています」と距離の近さを感じながら収録現場に立っている。「会社の人間関係、子育て、夫婦、嫁姑(しゅうとめ)問題と『あるある』がたくさん詰まっている作品です」。女優としてのターニングポイントの作品になる可能性を感じる。【瀬津真也】

 ◆松嶋菜々子(まつしま・ななこ)1973年(昭48)10月13日、神奈川県生まれ。96年NHK連続テレビ小説「ひまわり」ヒロイン。98年フジテレビ系「GTO」のほか、99年はフジテレビ系「救命病棟24時」「氷の世界」、TBS系「魔女の条件」の連続ドラマ3本に主演。00年フジテレビ系「やまとなでしこ」は最高視聴率34・2%。11年日本テレビ系「家政婦のミタ」は平均視聴率25・2%。01年に反町隆史と結婚。04年と07年に女児を出産。血液型A。

 ◆「営業部長 吉良奈津子」 大手広告会社が舞台。クリエーティブディレクターとして活躍していた吉良奈津子は3年ぶりに現場復帰したが、配属先は古巣のクリエーティブ局ではなく、くせ者ぞろいの営業開発部だったが、バイタリティーと笑顔を武器に部長として奮闘。元部下を松田龍平、営業開発部のメンバーを板尾創路、DAIGO、岡田義徳、中村アン、足立梨花らが演じる。