今年で製作45周年を迎えた日活ロマンポルノのリブート(再起動)企画第2弾「風に濡れた女」(塩田明彦監督)の初日舞台あいさつが17日、東京・新宿武蔵野館で行われ、主演の間宮夕貴(25)永岡佑(34)塩田明彦監督(55)が出席した。

 一切の欲を封印し、森で1人暮らしをする元劇作家の男が、なぞの肉食系女らによって欲望の渦に巻き込まれていく物語。間宮は劇中、男の前で平気で裸になるなど、野性味と性欲にあふれる女を演じたが、主演作の初日とあってこの日は感激の面持ち。「上京してきて、初めてバイトをしたのが、この武蔵野館の上の飲食店でした。まさか働いていたところで自分が出る映画が上映されるのは、夢のようでうれしい」と、運命のいたずらに感謝していた。

 冒頭では自転車をこいだまま、海へ突っ込む体当たりのシーンを演じた。日没が近く、服も髪も濡れることから、失敗が許されない場面で、現場は緊迫ムードになったという。間宮は「『ミスしたらそのまま海に沈めるからな』という紫色のオーラが出てて、『このまま死ぬんだな』と思いながら本番をやった記憶がある」と振り返った。その風景を遠くで見ていた永岡は「大変そうだなと思った。僕は座ってるだけだったので」と笑わせた。

 ロマンポルノ作品としては初めて、映画祭のコンペに出品されるなど、過去作品とともに12カ国16の映画祭で上映された。スイス・ロカルノ映画祭では3人ともレッドカーペットに招かれたが、カメラマンのお目当ては間宮1人だったという。間宮は「『君だけ残って』と言われ、5分ぐらい1人でバシャバシャと撮られて、いい気分だった。後で写真を見たら、監督と永岡さんが『早く終われよ』という顔をしていた。しまったと思った」と申し訳なさそうだった。

 塩田監督には次回作の構想があるという。宇宙空間から始まるファンタジー作品といい、「『宇宙の風に濡れた女』といって(笑い)。実現させるためにヒットさせたい」と来場を呼びかけていた。