俳優妻夫木聡(36)が14日、都内の角川シネマ有楽町で行われた台湾映画「■嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」4Kレストア・デジタルリマスター版(エドワード・ヤン監督)舞台あいさつ壇上で、主演の俳優チャン・チェン(40)から、勝負パンツをプレゼントされた。

 妻夫木は、ヤン監督の死から10年の節目を迎えた今作が、25年ぶりに日本で上映されることを祝うため、花束を持って駆けつけた。それが、妻夫木が日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞したことを知ったチェンから、逆にプレゼントされたのがパンツだった。

 妻夫木が「どういうことだ?」と言い、パンツを広げると、サメが大きな口を開けた米映画「ジョーズ」のポスターの柄になっていた。下着というより、半ズボンくらいの大きさがあり、チェンが「本当は下着を買いたかった。ラッキーパンツをお持ちだと、インターネット上で拝見したから」と笑うと、妻夫木は「『ウォーターボーイズ2』でもやれって言うのかと思った」と、シンクロナイズドスイミングに励む男子高生を演じた、01年の主演映画の名を挙げた。

 そして「デカくて衣装からはみ出すかも」と笑うと、チェンは「じゃあ、新婚旅行の時に」と、妻マイコとの大事な時にはいてほしいとリクエストした。妻夫木は「ぜひ、これをはいて勝負します」と約束した。

 妻夫木とチェンは、15年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞した台湾のホウ・シャオシェン監督の映画「黒衣の刺客」で共演した。自身が主演した05年の映画「春の雪」(行定勲監督)の撮影現場を、チェンが訪れたことがきっかけで知り合い、チェンが来日するたびに連絡を取り合い、数カ月前には食事もしたという。

 「■嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」は、チェンの初主演映画で、実の父と兄も、劇中で父と兄を演じた。チェンは作品について、次のように語った。

 ヤン監督は伝説的な存在。この映画は、僕の人生に大きな影響を及ぼしたし、出演しなかったら、この仕事(俳優)に就くこともなかった。初主演の映画で、演技は何かも分からなかったし、家族と出演するのは困難というか困惑したけれど、今になって思い返すと、すばらしい経験。役者となって振り返ると、映画の中に父、兄がいて、短いシーンだが母も出ている。映画の中に家族が残ったことは良かった。

 この日は、07年に亡くなったヤン監督と親交が深かった、プロデューサーのユー・ウェイエン氏も登壇した。【村上幸将】

※■は牛ヘンに古