人間国宝の落語家柳家小三治(77)が13日、岐阜県多治見市で落語会に出演し、先月下旬に「変形性頸椎症」のため受けた頸椎(けいつい)の手術とその後の、休養から高座復帰した。高座は先月19日の落語会以来、約3週間ぶり。

 冒頭で「戻ってまいりました」とあいさつ。30分以上のまくらと、「粗忽(そこつ)長屋」で、終演予定時間を超えての熱演だった。

 緞帳(どんちょう)が下りる寸前に、再び緞帳が上がると、小三治にサプライズが用意された。入場時、観客にカードが配られ、復帰を祝うメッセージを書いてもらっていた。

 たくさんのカードを受け取った小三治は深々と頭を下げ「こんなにうれしいことはありません。ありがとうございます」。さらに「これからも一生頑張ります。先生から『(手術が)これ以上ないほどうまくいきました。100歳まで生きてください』と言われました。私はもっと生きて、お話を聞いてもらいたい」と言うと、大きな拍手が起こった。

 終演後、小三治は「自分でも驚きました。これだけできるとは思わなかった。もっともっとみじめな姿になるんじゃないかと思いました。温かくていいお客さんだった。(メッセージカードは)もったいなくて流し読みできませんね。これから何日かかって読むのかしら。まだ首は痛いんですけど、(高座では)すっかり飛んでました」。首を振る動作もスムーズで「手術のおかげでね。前より良くなりました」と笑みを見せ、会場を後にした。