嵐の松本潤(34)主演のTBS系日曜劇場「99・9刑事専門弁護士 SEASON2」(日曜午後9時)が14日、スタートする。

 「99・9刑事専門弁護士」は16年4月期に放送された。松本演じる弁護士の深山大翔が、刑事事件の裁判で有罪の確率が99・9%と言われる日本の司法制度の中、残り0・1%の逆転の可能性にかけて埋もれた真実を追求する姿、深山に翻弄(ほんろう)されつつも裁判に挑む斑目法律事務所の面々と検察との戦いが描かれた。深山の上司・佐田篤弘役の香川照之(52)が「シーズン1が少なからず評価されたところだと思う」と語る事務所の面々の、丁々発止のやりとりは、所長役の岸部一徳(71)も「パスを回して最後に決めるシュート率が1段、上がった。面白くなっている」と絶賛するようにパワーアップしている。

 香川は7日に都内で行われた会見で「本ゼリフをリハーサルしているかと思いつつ、後ろで我々がガヤガヤしているガヤ…いわゆるアドリブのバランスを含めて本気で決めて真剣にやっている」と笑いながら明かした。そして松本と、弁護士をサポートするパラリーガル藤野宏樹役のマギー(45)が、現場でプロデューサーの役割を果たしていることが大きいと語った。

 香川 現場でアドリブを生み出しているのは、松本さんのプロデュース力。嵐の中でも1番、プロデュース能力があり、常に上から見ている。もう1人、我々の精神的な支柱はマギーさん。脚本家でもいらっしゃいますし、現場のアドリブの8割方を決めてくださる。昨日の撮影でも、最後の最後に「この順番、入れ替えたら良くない?」って本番前にバッと決めて、僕と木村さんと松本さんのセリフが4つあったのを3つに減らして順番を入れ替えて「この方がいいね」という話になった。松本さんとマギーさんと、現場に2人のプロデューサーがいるというのが、本当に大きい。

 作品の、もう1つの魅力は、深山が「いただきマングース」、「お金は、おっかねぇ~」などと口走る、オヤジギャグだ。ここでも、松本のプロデュースは半端ではないと香川は語る。

 香川 松本さんがダジャレに関して妥協されない。iPhoneに音を録って50~100回くらい、ずっと入れては聞き『ここの音は伸ばした方がいい』、『強くやった方がいい』、『みんな、全部忘れて普通にいってみよう』などと…本ゼリフの練習は一切なく、オヤジギャグのところだけ、すごく精密に作りあげる。今回は許しませんね。

 第1話で刑事事件弁護の依頼人の付き添いとして登場し、斑目法律事務所に加入して深山と対立する元裁判官の尾崎舞子役の木村文乃(30)は、第3話の撮影で松本がオヤジギャグの流れで歌ったと明かした。

 木村 私だけしか受ける人間がいなくて、どうしていいか分からないのに…最終的にオヤジギャグで『ルン・ルン・ルン・ルン』と歌っていた。放送されるか分からないですけど、オヤジギャグの神様が憑依(ひょうい)していますよね。

 松本は「オヤジギャグをやる時に、不安なんですよ…自分発信じゃなく(発案は)木村ひさし監督ですから。どう言ったら、面白くないものを見ている人に面白いと思ってもらえるかを考えています」と、視聴者のハートをくすぐるために試行錯誤を繰り返していることを吐露した。

 そうした太い流れの上に、弁護士と裁判官の戦いという新たな視点が加えられた。第1話では、金融会社社長を殺害した容疑で逮捕、起訴された容疑者の弁護の依頼が舞い込み、依頼人の友人・尾崎は元裁判官の視点から、調書を見る限り状況証拠から有罪は免れないと無実の証明ではなく情状酌量を求め、深山と対立。そしてラストには尾崎の大先輩の東京地裁所長代行・川上憲一郎が登場する。川上を演じる笑福亭鶴瓶(66)と松本との掛け合い、戦いが今後の大きな見どころとなりそうだ。

 松本と初共演の鶴瓶が「最後、見ていただいたのは僕の演技の助走。徐々に燃えていくタイプなんで楽しみに待っていてください」と意味深な笑いを浮かべれば、松本も「後半、物語が加速していくタイミングで本当にバチバチにやり合うことになると思うので楽しみ」と笑みを浮かべた。

 シーズン1は、第2話と最終回の視聴率19・1%、全話平均視聴率17・2%と、同クールのドラマで最高の視聴率を記録し大きな反響を呼び、日曜劇場としては、09年10月期、11年4月期の「JIN-仁-」以来、6年ぶり2度目のシリーズ化が実現した。「シーズン2」の浮沈は、やはり主演であり“プロデューサー”でもある松本が握る。【村上幸将】