2016年、57歳で急死した米歌手プリンスさんの検死結果について、これまで秘密となっていた報告内容が明かされ、新事実が浮かび上がった。米情報サイトTMZなど複数のメディアの報道によると、プリンスさんの体内には死亡当時、過剰なまでに高濃度のフェンタニルが検出されたという。

 フェンタニルはヘロインより50倍、モルヒネより100倍も強力なオピオイド系の鎮痛剤だが、今回の報道によると、プリンスさんの体内におけるフェンタニルの血中濃度は1リットルあたり67.8マイクログラムとかなり高い数字を示しており、通常は、1リットルあたり3から58マイクログラムでも死に至るとされている。

 ある医療専門家は、慢性的な痛みを持つ患者だったとしても、プリンスさんのフェンタニル血中濃度は過剰なほど高過ぎると示唆。肝臓におけるフェンタニル濃度は1キロあたり450マイクログラムだったとされており、1キロあたり69マイクログラムを超える濃度でも、過剰摂取か致死量になるケースが多いという。

 同専門家の話によると、プリンスさんはフェンタニルを口から摂取したとみられ、胃の中には致死量となり得るほどのフェンタニルが検出されたという。

 プリンスさんは2016年4月、ミネソタ州ミネアポリス郊外にある自宅兼音楽スタジオで急死。腰の痛みに苦しんでいたプリンスさんは2009年、強力な鎮痛剤を医師らに処方され、長年にわたり、鎮痛剤や麻薬に依存していた可能性が高いと報じられていた。(ニューヨーク=鹿目直子)