乳がん闘病から復帰が決まった女優藤山直美(59)のおい、松竹新喜劇の藤山扇治郎(31)が6日、大阪市内で、元宝塚歌劇団星組トップ北翔海莉(ほくしょう・かいり=年齢非公表)との主演舞台「蘭(RAN)~緒方洪庵 浪華の事件帳」取材会に出席し、舞台と伯母の復帰の「ご縁」を語った。

 「医者の役を僕がお稽古している時に、舞台復帰が決まって、しかも、(直美が信頼する)北翔さんとの舞台で、すごく喜んでくれていて、それで元気になったんじゃないでしょうか。本当に、いいご縁としか言いようがないです」

 昨年2月から療養していた直美は、10月の舞台「おもろい女」(8~29日、東京・日比谷シアタークリエ)で、1年8カ月ぶりに復帰する。

 今作で扇治郎は、蘭学医として知られる洪庵役で、北翔は大阪の治安を守る男装の麗人で武術の達人にふんする。宝塚時代から芸事に熱心だった北翔は、歌舞伎や喜劇を多く観劇しており、直美とも旧知の仲。扇治郎の祖父にあたる故藤山寛美さんの大ファンでもあり、直美とは闘病中も連絡を取り合い、おいの扇治郎との共演も報告していた。

 扇治郎は「こんな僕ですから、伯母も心配でしょうけど、北翔さんと一緒なら安心してくれてると思います。これが外(松竹新喜劇の外部)の舞台で、他の方(とのダブル主演)だったら、心配だったでしょうけど」と笑いながら、尊敬する伯母の復帰を喜んだ。

 扇治郎は今回、北翔との共演が決まり、稽古に入るにあたり、北翔から「(扇治郎の)『治』は、病気を治す、人の心の乱れ、騒乱を治めると同じ。(医者役だが)人の心まで治める、治すよう頑張ってほしい」と言われたと明かした。

 横にいた北翔は、これに「もう!」と照れながらも、直美の復帰には「たいへん喜ばしくて、感動で涙が出ました」。これまで「直美さんの舞台が私のエネルギーだった。最近、あの方のエネルギーがなくて、元気がなかったんだと思う」ともポロリ。

 一昨年11月、宝塚を退団。本格的に女優への道を歩み始め「私も直美さんのように、あの人のステージを見て元気になったと思ってもらえるような役者になっていかなきゃいけない」と話していた。

 舞台は大阪松竹座で5月6~13日、東京・新橋演舞場で5月16~20日。