舘ひろし(68)が、主演映画「終わった人」(中田秀夫監督、6月9日公開)で、石原プロモーションの後輩、岩永ジョーイ(23)と初共演している。舘は定年後の生き方を模索する壮介を、ジョーイは壮介の高校、大学時代を演じた。このほど2人がそろって取材に応じた。

 2年前に石原プロ入りしたジョーイと、35年目の舘。舘は「雰囲気似てるよね。やせてる感じとか」と後輩を見やった。同一人物を演じる2人が、同時に映る場面が1つだけある。東大卒の壮介が、赤門前で昔の自分を思い浮かべる場面だ。舘は「現場でジョーイに『ガチガチすぎるだろ』って声を掛けました」と苦笑いすると、ジョーイは「同じ画面に映る緊張感とすごいプレッシャーで…」。それでも舘に声を掛けられ、緊張が少し薄れたという。

 壮介が高校時代に打ち込んだラグビーの場面でも、実際にラグビー部だった舘のひと言が役作りに生かされた。ラグビー初体験のジョーイは2週間、コーチについて練習。舘は「アドバイス? まったくしてません。石原プロは伝統的に芝居の話をしないんです」と笑ったが、ジョーイは後でこう明かしてくれた。「『昔のラグビー選手は今ほどがっちりしてないから、それほど鍛えなくていい。パスやタックルに説得力があればいい』と言ってくれました。さらっとおっしゃるので、聞き逃さないようにしないと」。舘らしいさりげなさが垣間見えた。

 仕事をする上で大事にしていることについて、舘は「1つ1つ、必ず100%の情熱を持ってやる。遊びも全力で。今はゴルフのスイングを新しくしてます」とにんまり。ひとしきり笑わせたが、これも後輩へのアドバイスだったのかも。【小林千穂】

 ◆「終わった人」 内館牧子氏の同名小説が原作。舘ひろしと黒木瞳がダブル主演で夫婦を演じる。定年後、暇を持てあます壮介(舘)と、美容室を持つ夢に向かう千草(黒木)。カルチャースクールで働く女性との出会いや、IT社長との出会いで、壮介の生活に再び活気が出てくるが-。ほかに広末涼子、臼田あさ美、今井翼、田口トモロヲ、笹野高史らが出演。