“人脈芸人”として有名なお笑いコンビ、カラテカ入江慎也(41)の著書「入江式 のしあがる力。」(ゴマブックス)刊行記念イベントを取材した。

 就職、転職希望者に向けた講演会と銘打たれていたため、実践的なアドバイスをするのかと思っていたら、人に好かれるための心構えを語っていたのが印象的だった。

 入江が人付き合いで大切にしていることは、サービス精神だという。「WBC」というワードを使って説明した。

 「W」は、笑うこと。「合コンの、そこそこの暗いブスが大嫌い。お金出すのは男性なのに『なんだよそれ』って思っちゃう。明るく笑っていれば、その人のいいところが見えてくる」。暗い顔で、会話の弾まない合コンがつまらないだろうということは分かる。

 「B」は、ビックリすること。「ご飯はリアクションを取ってくれる人と行きたい。普通に『うまいっすね』じゃあおごりがいがない。『なんですか、これ! 入江さん!』くらいやってくれるといいですね」。これなら気持ち良くお金も出せるだろう。

 「C」は、チェックすること。「僕の本を自分でお金を出して買ってくれて、感想をメールで送ってくれる後輩がいる。かわいいなって思う」。当然だと思う。

 ここまで聞いていて、普通のことを言っているなと思っていたのだが、わが身を振り返れば全く実行できていない。こうした細やかな気遣いができれば、人に好かれるだろう。

 講演会で、入江は「就職、転職に悩んでる方は僕が就職先を紹介します」と言った。続けて「相談してくれた人は1歩を踏み出している人だから、そういう人の力になりたい。後で連絡先を交換しましょう」。5000人とも言われる自身の人脈の中から、紹介できそうな人を探すらしい。結局、最後のサイン会は長蛇の列になり、入江は1人1人の話を聞いていた。その後、入江主催の懇親会があることが告知されると、相当数が参加するようだった。

 手間のかかることや、付き合いをないがしろにしない入江自身のサービス精神が人を集めるのだと思った。