寅さんが帰ってくる! 松竹は6日、故渥美清さんが主演した映画「男はつらいよ」シリーズの50本目となる新作を19年に公開することを発表した。作品は1997年(平9)の「寅次郎ハイビスカスの花 特別編」以来22年ぶり。この日、山田洋次監督(86)と女優倍賞千恵子(77)が「『男はつらいよ』50周年プロジェクト」の発表会に出席。記念イヤーを祝うビッグプロジェクトに、驚きの目玉企画が待っていた。

渥美さんが亡くなって、来年で23年。主演が故人という、異例の形で新作映画が発表された。

1969年(昭44)に第1作「男はつらいよ」が公開されて、来年で50年目を迎える。渥美さん演じる寅さんが人気を博し、年2本ペースで公開されてきたシリーズだったが、96年に渥美さんが死去。97年を最後に、新作は発表されていなかった。

当時のスタッフ陣の中には「あまりにも突然に渥美さんが亡くなったので、モヤモヤした感じがあった」とし、50周年を祝うこのタイミングで、50本目の新作を撮ることに決まった。

寅さんの妹さくら役の倍賞は、「171本の映画に出ているけど、3分の1が寅さんの撮影だから、自分の青春でもある」と、作品への並々ならぬ思いを明かした。「1年前か2年前か、山田さんから『また寅さん撮るよ』と聞いてびっくりした。『お兄ちゃんいないし、どうしてできるのかしら』と思ったけど、50年の間、寅さんが皆さんの心に生きてきたんですね」としみじみ。「お兄ちゃんが生きてたら『おい、さくら、まだ山田さんと映画を撮らなきゃダメだぞ』と言う気がする」と、渥美さんの姿を思い浮かべながら語った。

山田監督は「日本人が豊かでいた時代を想起しつつ、次の時代へのギアチェンジをしなきゃいけないんじゃないか。寅さんを見ながら、ふと、そんなことを考える。そんな映画ができたらいいなと思います」と話した。

主演は渥美さんで、キャストは倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆など。他は後日発表される。来月から撮影する現代パートと過去49作の名場面を合わせて、1本の映画に仕上げるという。

50周年プロジェクトの一環として、10月からBSテレ東(現・BSジャパン)で、過去49作が放送される(10月6日スタート、土曜午後6時半)。また、49作の4Kデジタルリマスター版が、来年の夏以降に劇場上映、ブルーレイ販売される。