俳優井浦新(44)が、カンテレ開局60周年特別ドラマ「BRIDGE はじまりは1995・1・17神戸」(フジテレビ系、来年1月15日午後9時)に主演することが6日、分かった。

阪神・淡路大震災で崩落したJR神戸線の六甲道(ろっこうみち)駅を、わずか74日間で復旧させた実話をドラマ化する。共演は野村周平(24)椎名桔平(54)葵わかな(20)ら。

井浦が演じた高倉昭は、六甲道駅の復旧工事の指揮を執った奥村組の岡本啓氏をモデルとしている。岡本氏は当初、復旧に1年以上かかると見込んだが、大阪と神戸をつなぐ要所の六甲道駅を、異例の工法で開通させた。レールを敷く路盤は崩れていなかったため、ジャッキで元の10メートルの高さまで持ち上げて水平に戻し、崩壊した橋脚のみ工事した。使命感に突き動かされた男たちが、震災から74日後の同年4月1日に開通まで導いた。

井浦は当時の自身を振り返り「20歳で、ただただ未熟で、すぐに行動を起こすという手段も発想もなかった。実際に岡本さんにお会いして、当時どんな心境だったのかをうかがいました。強いリーダーシップを持ちながらも人情がある」と話している。

主人公とバディを組む春日豊役に抜てきされたのが、野村周平。野村は神戸生まれで、震災当時は1歳2カ月。「神戸は普通に街の中に震災の跡とか慰霊碑があるんです。震災を経験した人間なので、震災復興の物語に参加できるのはありがたい」と話す。

その春日の23年後、現在を演じるのが椎名桔平。現代の若者に震災当時のことを語って聞かせる形でドラマが進行する。椎名は「数千人もの犠牲者の方々、数万人もの被災者の方々、23年前に起こった悲劇を見つめなおし、今なお心身に傷を負っている方々に、少しでも寄り添う力になればと願っています」。他にヒロインとして葵わかなが、駅の倒壊によって徒歩通勤を余儀なくされる、ホテル職員・服部瞳を演じる。

同局米田孝プロデューサーは「開局60周年を機に阪神・淡路大震災をどう切り取るべきなのか、議論を重ねた結果生まれたのが、この作品です。手を取り合い、困難に立ち向かった優しく強い人間の姿を描きたい」と話している。

◆阪神・淡路大震災 1995年(平7)1月17日午前5時46分、兵庫県淡路島北部を震源にマグニチュード7・3の地震が発生。神戸市などで観測史上初の震度7を記録。死者6434人、重傷者約1万人、被害家屋は約64万棟。神戸を中心に鉄道や高速道路、電気、ガス、水道が寸断された戦後有数の都市型災害。