内戦下のシリアで拘束され、3年4カ月ぶりに解放され、帰国したジャーナリストの安田純平氏(44)が解放から約2カ月となる今も拘束中の悪夢を悩まされている現状を語った。

12日、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」(月~金曜午後1時)に生出演し、大竹から最近の様子を聞かれて、夢と現実が交錯する内面を明らかにした。

「今、家にいて、目が覚めると、これは自由なのか夢の続きなのかがわからないときとかあって。そういう、まだ現実なのかどうかがわからなくなることがありますね」

40カ月にも及ぶ拘束中の実態については「無視というか。周りにも囚人がいて、周りとしゃべってはいけない。本当にこちらがバランスを崩してしまうと全部しゃべってしまうかもしれない。そうするとまずいから、逆に扇風機とかを盛大に回してうるさくした」と、苦しみの中で生活していた様子を振り返った。

コーランを読み、イスラム教への知識も深まったという。「ある程度勉強はしていたんですけど、イスラム教の中で特に自分でも胸に落ちる部分とかは結構あった。人間は弱いものであると。だからそれぞれ持っている能力以上を神が求めることはないとか、神というのは慈悲深いものであるとか。アラビア語と英語両方書いてある本をくれたので、コーランの勉強をしながらアラビア語の勉強にもなってそれはすごく助かりました」と話した。

大竹から「一番苦しかったのはどの時期か、何がつらかったか」と聞かれると「やはり身動きしてはいないという話がどんどんエスカレートして、24時間扇風機も回さないでまったく身動き取れないときが3カ月ほど続いた。このままヘタすると、永遠に出られないかもしれないなと思った」と絶望視した時期があったことを振り返った。

安田さんはシリアで2015年6月22日に、現地での仲介者とは違う2人組の男に連れられてトルコから徒歩でシリアに入り、監禁された。今年10月に解放され、同25日に帰国した。先月の日本記者クラブでの記者会見では、今後の紛争地帯での取材については「全くの白紙、分からないです」と話していた。