乃木坂46堀未央奈(22)が21日、初主演映画「ホットギミック ガールミーツボーイ」(山戸結希監督、28日公開)で、アジア新人部門・優秀女優賞を受賞した「第22回上海国際映画祭」に参加した。グループ初の映画祭出席。しかも、世界12大映画祭に数えられるアジア最大規模の映画祭だ。

映画祭の合間に取材に応じた堀は、作品について、女優というキャリアについて、熱い気持ちを語った。「お芝居は簡単じゃないけど、楽しいし、やりがいを感じます。できあがった時、いろんな人に見てもらって、いろんな感情も生まれるし、どんどん挑戦していきたいです。とにかくいろんなことをやってみたい」。初の映画で主演に抜てきされ、乃木坂46としての活動もある中で撮影期間中は作品に集中した。日に日に、女優業に対する思いが強まったという。

映画界の新星として注目される山戸監督からも絶賛された。

「堀さんは、どんな厳しい環境であっても、自分自身の目で見て耳で聞いて、すごく自分の意志のある方。外見的にはあどけない幼い魅力もありながら、凜(りん)とした心や軸がある方。尊敬に値する方です」

堀の女優としての特長について、山戸監督は「どんなにカメラが遠くにあっても、『私を見て』ってすごく引き寄せてしまうような、カメラへの誘いがすごいある方」と説明する。「すごく自分自身に対して厳しくて誠実な方だと思います。腹が据わっていて、言ったことは逃げずにきちんとやる。彼女の誠実さがその場の誠実さを作り出すというか、周りの人のかがみになる力を持っている方ですね」と現場での様子も明かした。

映画祭では、アジア新人部門の最優秀女優賞は惜しくも逃す形となった。ノミネートされた4人中、堀以外の3人が中国人という“完全アウェー”状態ではあったが、セレモニー後は「ちょっと悔しい思いもしましたね」とほほえんだ。「乃木坂でもそうでした。いきなり『バレッタ』でセンターになったけど、思うようにできなくて、悔しくて。今回も、初の映画でここまで来られたけど、最後ちょっと悔しくて。私は何事も、そういうところから始まるんだと思うんです」と前向きに語った。

山戸監督も「(最優秀女優賞)発表の時は、正直涙が出そうになりましたけど、一番悔しいはずの堀さんがこんなに強くいらっしゃるから…」と言葉を詰まらせた。女優としての堀の将来性について「出す部分も受ける部分もすごく柔軟さがある人で、女優さんにはっきりと向かれている方。折れずにこの世界で羽ばたいていくと思うので、本当に本当に楽しみにしています。確信しています」と太鼓判を押した。

13年3月に乃木坂46に2期生として加入し、同年11月発売7枚目シングル「バレッタ」でいきなりセンターに抜てきされたが、選抜メンバー内で唯一の2期生ということもあり、複雑な思いもあったのだろう。選抜漏れを経験した後は、16年3月の乃木坂46シングル「ハルジオンが咲く頃」で選抜復帰を果たした後は、2期生の筆頭として乃木坂46の中心メンバーのポジションを確立させていった。

2日間にわたる映画祭参加を終え、「初めての映画が山戸監督で、『ホットギミック』でよかったです」と晴れ晴れとした表情で言い切った。「すごくいい経験をさせてもらいました。もう、死んでもお芝居をやってやりますよ!」。女優としてのキャリアは「ちょっと悔しい」からスタートしたかもしれないが、それもスターダムに駆け上がっていく吉兆なのかもしれない。【横山慧】