双子のフリー素材アイドルMika+Rikaが出演する広告「グリーンバックアイドルMika+Rika」がこのほど、世界最大級の広告賞「カンヌライオンズ2019」のソーシャル&インフルエンサー部門でブロンズ賞を受賞した。名前を売るために肖像権をフリーにした活動が世界でも認められた形。2人は「えっ? あのカンヌ?」と驚きを隠せない。

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カンヌライオンズはエントリー数、来場者数ともに最大規模を誇り、全21部門に4万点を超える作品エントリーがある世界最大の広告フェスティバルだ。そのブロンズ賞を取ったことで、2人は「無料アイドルではなくて、あのカンヌを取ったアイドルを名乗ってしまおうかなと、浮かれています」と喜んでいる。

2人は5年前、肖像権などを放棄したフリー素材アイドルとして活動を始めた。ネットに載せた写真を自由に使ってもらうシステムだが、これだとポーズなどは限られてしまう。そこで、相手の欲しいポージングでの撮影もできるように進化させたのが「グリーンバックアイドル」だ。縦145センチ横105センチのグリーンバックを背負い、こちら側から出向いて撮影してもらう作戦だ。

企画したのは世界の電通。でも、PRはいたってアナログだ。認知度を高めるために2人はこのグリーンバックを背負い、東京・秋葉原の歩行者天国でPRしていたところ、警察から職務質問されたことも。電車での移動を想定しグリーンバックは折りたたみ式だ。Rikaは「最初は恥ずかしかったですね。お笑いタレントに転身したと思われていました」。芸能事務所に所属するがこのPR活動は自主活動。そこで、2人のマネジャー役を担ったのが母だった。Mikaは「母も恥ずかしかったのか、他人のふりをしていたこともありました。でも、賞を取ったことで本当に喜んでくれました」。

フリーばかりが強調されるが、有料の仕事も増えている。トマト銀行(岡山)のテレビCMやソフトバンクのウエブCM、地元の埼玉県三郷市のPR大使に就任し、同市のイベントの仕事なども増えた。Mikaは「三郷市のイベントで司会などもやるようになりました。今後は、トーク術も磨いてしゃべる仕事もしていきたいです」。Rikaは「地元での仕事がとても楽しくて、地域に貢献というか、社会が優しくなるような仕事をしたいと思うようになりました」と話している。

◆Mika+Rika フリー素材アイドル。無料で写真をダウンロードできるサイトを作成し、さまざまなウェブ広告などに使われたことで、広告界の各賞を受賞。年齢、本名は非公表。東京生まれ。Mikaは163センチ、法大卒。Rikaは160センチ、成城大卒。13年1月にシングル「FUNKY OL~仕事したくないよ~」で歌手デビュー。