宝塚歌劇花組トップの明日海(あすみ)りおの退団公演が24日、東京宝塚劇場で千秋楽を迎えた。

正装の緑のはかま姿で「宝塚大好き。宝塚、フォーエバー(永遠)」とあいさつした明日海は、延べ1万人のファンに見送られて、17年間の宝塚生活に別れを告げた。

平成を代表するトップだった。この日のさよならショーを含めた千秋楽の模様は47都道府県、香港、台湾の189カ所の映画館でライブ中継され、宝塚史上最大規模だった。舞台上のあいさつで「3月に退団を発表したけれど、こんなに宝塚が大好きなのに、どうして辞めることにしたんだろう。一生男役をやっても良かったと何度も思った」と、冗談交じりに後悔を口にした。「12時を過ぎると、タカラジェンヌじゃなくなる。今消えてしまいたいほど、宝塚が大好き。宝塚、フォーエバー」と叫んだ。

カーテンコールは6回を超えた。「胸がいっぱいです。退団しても清く、正しく、美しく生きます。花組男役トップスター明日海りお、本日をもって任務を終えます」と宣言。会見では「宝塚は私のすべて。幸せな宝塚人生を終えたと思います」と笑顔で話したが、公演のフィナーレで付けた羽を下ろす時に「もう背負うことがないんだなと思った、重いんですが、寂しかった」と涙を見せた。

100周年以降の宝塚をけん引した明日海。劇場外で待つ1万人のファンの「男役、明日海りお、最高!」の大合唱に送られ、白のオープンカーに乗って、さっそうと劇場を後にした。【林尚之】

◆明日海りお 6月26日、静岡市生まれ。03年に入団し月組配属。12年に月組準トップになった後、13年に花組に移り、宝塚歌劇100周年の14年に花組トップに就任。15年に文化庁芸術祭新人賞を受賞。平成以降では歴代3番目となる5年半もトップを務め、トップとして主演した大劇場公演は100%超の動員力を誇った。169センチ。