“楽器を持たないパンクバンド”として今最もライブが熱いと話題の6人組女性グループ、BiSHのアユニ・Dの囲み取材に行った。

囲み取材では多くのテレビカメラの前で、ディレクターからどんどん質問が飛ぶ。淡々と気の利いた言葉を答える芸能人には毎度感心させられるが、アユニは自分のことを「自分を表現することは得意ではない。ポップとは正反対の性格。暗いしくじけやすい」と分析しているように、冒頭から囲み取材はあまり得意ではないのかもしれない、とも感じた。

フォトブックの発売記念イベント前の囲み取材だったが、撮影地の台湾を選んだ理由を問われても「どうして?…行きたかったので…」と返したり観光名所九■について聞かれている時に「ちょっと思考回路が回らない…」と答えたりしていた。マネジャーや出版社の人と目を合わせて確認するかのように答えるようなこともあった。

しかし、アユニは態度が悪いわけではなく、必死に言葉を紡いで必死に答えていた。決して言葉がたくさん出てきたわけではなかったが、そういった姿勢は取材陣にも伝わり、ディレクター達もなんとか引き出してあげようと工夫するし、取材陣もアユニの言葉に反応して笑って盛り上げるなど、現場が一体となって取材が進んでいった。

千鳥のノブ(39)やアインシュタイン稲田直樹(34)らがBiSHドハマり芸人として出演し話題となったテレビ朝日系「アメトーーク!」放送後、街で声をかけられることも増えたという。声をかけられるようになったことについて「いつも冷たくてすみません」とコメント。アユニ・DのDの意味を聞かれると「大人につけられたのでわかりません」。

一見冷たくも感じられるアユニだが、自分の思いをしっかりと伝えようという意思が言葉の節々から伝わってきた。

「うまくできなくてすみません」といって退場していったが、一部取材陣からは「がんばってたよ」という声も出ていた。あれだけ“一体感”のある現場は初めてだった。

苦手ながら必死に答えているような姿に彼女らしさがあり、その様子を伝えることで彼女の魅力を広めることができるのかと勉強にもなった。【佐藤成】

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