宝塚歌劇の宙組「エル ハポン-イスパニアのサムライ-」新人公演が3日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、4年目の注目株・風色日向(かぜいろ・ひゅうが)が初主演した。相手役ヒロインも同期、102期の花宮沙羅(はなみや・さら)で初ヒロイン。フレッシュコンビがセンターに立った。

舞台と客席をつなぐ宝塚大劇場の銀橋。スターが通る“道”を初めて渡った風色は「銀橋を渡ったのも、歌ったのも初めてなので、うれしいし、本当に幸せだなと思いました。感動しました」。175センチの長身スター候補生は、端正な顔をほころばせた。

今作は、今も「ハポン(日本)」姓を名乗る人が住むスペイン南部の町が舞台。江戸時代の慶長遣欧使節団にまつわる話を描く。本役の宙組トップ真風涼帆からは「芯(しん)のあるサムライ。魂とか、たたずまい、内面からにじみ出るものがなければ務まらない」とアドバイスされ、心身ともに主人公になりきろうと、稽古に励んできた。

まだ4年目での抜てきも、同期の活躍を刺激、エネルギーに代えてきた。今年に入って雪組の彩海(あやみ)せら、星組・天飛華音(あまと・かのん)が新人公演で先に初主演を経験。娘役とはいえ、舞空瞳は星組新トップ娘役に就いた。

「今日、やっと(初主演を)終えたということに感謝しながら、はい。でも、本当に緊張しました」。大役を務め終えた安堵(あんど)とともに「初主演で、手取り足取り、やさしく教えてくださった真風さんでしたが、東京公演では、これに甘えず、心強く、芯のあるサムライ像を磨いていきたい」と誓った。

芸名の「風色」にちなみ、舞台から見えた色を問われると「最初はほんと(スポットライトが強く)真っ白で…。何も見えなくてビックリしましたが、終わった後は、あったかなオレンジ色に見えました」と振り返った。

相手役の花宮も「私もスポットで真っ白だったんですけど、ところどころ、あったかいオレンジ色にも見えました」と息もぴったりに話すと、目を見合わせた。花宮は東京公演へ向けて「せっかく同期でやらせてもらえるので、言葉のキャッチボールとか、デュエットとか、もっと良くしていきたい」と話していた。

東京宝塚劇場での新人は来年1月23日。