宝塚歌劇団の小川友次理事長(63)が14日、兵庫県宝塚市内の同劇団で、年始あいさつを行い、100周年以降、6年連続で右肩上がりの観客動員を明かし、好況からさらにはOGによる「夢組」の“夢”プランも口にした。

「100周年以降、信じられないありがたいことですが、昨年は(宝塚)大劇場、東京(宝塚劇場)ともに稼働率100%を超えました。前年を上回る103%。毎日、立ち見が出ている状況になります。これもファンの皆様のおかげ、生徒のおかげ、御礼を申し上げたい」

星組の紅ゆずる、綺咲愛里、花組の明日海りおとトップの退団が相次いだ19年は、宝塚大劇場の動員数が過去最高120万人を記録。宝塚バウホールや外部劇場、ライブビューイングも含めれば、約320万人を動員し、これも過去最高となった。

「星組のトップコンビ、花組と退団が続き、感謝の念が絶えません。とくに明日海の東京ファイナルは、映画館を抑えきれませんでした」とも。明日海が劇団に別れを告げた東京公演千秋楽のライブビューイングには、約7万人の応募があったが、映画館での収容総数は約6万人になったという。

小川理事長には、今年の東京五輪への協力とともに、25年大阪・関西万博を盛り上げたい思いも強い。「(会場のひとつが)夢洲ですから、OGによる『夢組』ぐらい作ろうか-と、そういうぐらい、OGの方にも協力いただきたい」と夢プランもぶち上げた。

明日海とも「夢組」について話をしたといい「冗談で明日海と話をしていたら『ぜひとも行きます』と言ってくれた。このあいだは紅も(星組の)稽古に来ていて。鳳蘭さんともこのあいだ会いましたが、お元気でした」。106周年を迎える劇団の新旧OGも一体となって、興行を打ったり、宣伝協力をしたりなど、これまで以上に、OGとの関係、絆を強固にしていく考えのようで、それが「夢組」プランにつながった。

同時に、好況に甘んじることなく「量を追うな。質を求めろ」と制作陣にも厳命。「人気なんか一瞬でなくなる。コンティニューはたいへんだけど、一度落ちたものを上げるのはさらにたいへん。1作でも駄作を出すと、終わり。みなそれぞれ、1作1作が勝負と思ってやってほしい」と制作側にも伝えていることも吐露した。

演出家は若手、中堅、ベテランが切磋琢磨(せっさたくま)し、レベルの高い作品を続けていけるように環境を整備する。同時に、制作陣には「今は(動員)9割で『不入り』と言われる。プレッシャーは相当あるはず」と思いやった。

生徒についても昨年、星組に礼真琴、花組に柚香光と、95期世代の新トップが誕生。一方で、明日海と同期の雪組トップ望海風斗は、相手娘役の真彩希帆とのコンビで、ベテランらしい圧巻の技量を発揮している。

小川理事長も「若手も育ち、ベテランもいて、5組あるので、それぞれの個性があっていい。新人も含めて、若手の育成にはより注力していきたい」と話していた。