新曲「再会の街」が好評な歌手KANA(46)がこのほど、全国各地のスナックを訪れる夜の歌唱キャンペーンで、目標の100店舗を達成した。

18年5月からスタートした「KANAの夜キャン~レディース応援隊100人できるKANA?」で、ママさんらに自身の応援隊になってもらい、隊員の認定証を授与してきた。これまで東京、大阪、北海道と、宮城、埼玉、千葉、神奈川、岐阜、愛知、山口、福岡、長崎の9県のスナックを訪問。タレントで全日本スナック連盟会長でもある玉袋筋太郎(52)が経営する東京・赤坂の「スナック玉ちゃん赤坂本店」で100店舗を達成した。

スナックなどの飲食店や有線放送局を回る「夜キャン」は、かつては歌手の主要なPR活動だったが、最近は“死語化”している。宇多田ヒカル(36)の母で、一世を風靡(ふうび)した演歌歌手の故藤圭子さん(享年62)が69年に行ったデビュー曲「新宿の女」の「新宿25時間立体キャンペーン」は、夜キャンの伝説になっている。

KANAは98年に女性デュオでデビューした後、作曲家杉本眞人率いる「すぎもとバンド」のバックコーラスとして活動。レコーディングやコンサートでは、、アリスや長渕剛、平井堅、JUJU、稲垣潤一、広瀬香美らポップス系だけでなく、五木ひろし、石川さゆり、氷川きよしら演歌系歌手のバックコーラスも担当した経歴を持つ。09年に「ナイアガラ~マリリンモンローの伝説~」でテイチクエンタテインメントから再デビューした。このころはジャージーな曲からギンギンのロックを歌っていたが、最近は男女の機微を都会的なセンスで歌うシティーポップ・テイストの楽曲が多い。昨年11月13日に発表した「再会の街」も、都会の雑踏でかつての恋人と再会し「どんな風に 今は暮らしているの 私なんて 相変わらずだけど」と歌う、大人のバラードだ。

イメージ的に夜キャンとは結びつかないが、「多くの著名な歌手が夜キャンをやっていた話は聴いて知っていました。自分でやってみて、待っているのではなく、自分から出向いていくことが、歌手の原点と再認識しました。若いころは聴いてくれる場所や人数によって、テンションが上がったり、下がったりしていましたが、歌手はいつでもどこでも同じテンションで同じパフォーマンスをしなければいけない。そういうチャンスも今回いただけたと思っています」。

100店舗目として、レディースではないがマスターとして認定証を手渡された玉袋は「こういうのが地に足がついた仕事ですよ。しっかりやった人はなんでも乗り切れるし、夢もかなうKANA?」と、ジョーク交じりに称賛した。

4月15日には、各スナックで実施した「KANAに歌って欲しい曲」のアンケートを基にした100店達成記念カバーアルバム(タイトル未定)を発売する予定だ。「かつてはどんなジャンルを歌うか考えた時もありましたが、今は歌謡曲でもありポップスでもあり、KANAというジャンルを確立したいなと思っています」。その言葉通り、「再会の街」のカップリング曲「そんじょそこらの女」は、アン・ルイスをほうふつとさせるようなロックナンバーである。

2月からは大阪、名古屋、横浜など1府7県で同じレコード会社のシンガー・ソングライターHANZOと「KANA&HANZO 2020 LIVE TOUR~人生なんて…シャバダバだ。~」をスタートさせる。夜キャンは一応節目を迎えたが、「せっかくつながった絆なので、さらにつながって行きたく思います」と継続宣言も飛び出した。これからも、夜のどこかで、“夜キャンの女王”のKANAと出会えそうだ。【笹森文彦】

◆KANA(かな)1973年(昭48)5月13日、埼玉県生まれ。98年に女性デューRoseで東芝EMIよりデビュー。02年にソロ歌手可奈としてインディーズで「ムーンライト・ホテル」を発売。05年から「すぎもとバンド」にバックコーラスとして参加。NHK・Eテレアニメ「おじゃる丸」の主題歌(北島三郎)はコーラスで参加。「センチメンタル・ゲイブルース」「バーボンをダブルで…(哀愁のジャス・シンガー)」「永遠の月」「酔いどれ女の物語」や、デビュー20周年記念曲「愛は流れ星」、JOYSOUND CMソング「ドライな貴方を飲みほして」などがヒット。趣味は料理、お酒、マッサージ。特技はサックス、ギター。身長163センチ。血液型A。