ジャズコーラスグループ「The Cotton Sisters」のリーダー、チバマサミさん(49)が、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、閉店危機の福岡市のライブハウスを救おうと、1日からクラウドファンディングを活用した支援を続けている。

支援者には、疫病よけの効果があるとされる妖怪「アマビエ」が描かれた関連グッズが提供される。4月末までの「支援金1億円」達成を目指し、妖怪パワーを味方に奮闘中だ。

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海援隊、チューリップ、井上陽水、CHAGE&ASKA、甲斐バンド、チェッカーズら、有名ミュージシャンが生まれた福岡の音楽文化の灯を消したらいかんばい-。

13年のグループ立ち上げから、福岡市を拠点に活動するチバさん。「アマビエ」がプリントされたTシャツを着て「人生を変えてくれた音楽をやることが幸せ。ライブの感動を若い人が経験できないのがもったいない。その灯は絶対消さない」と、“音楽のまち”を支えてきた地元の中小規模のライブハウス救済を訴えた。

チバさんが危機感を募らせたのは3月上旬だった。ライブ中止が相次ぎ「これはヤバイ」と一念発起。福岡市のライブハウス60数店に支援する旨を打診し、クラウドファンディングを開始した。15日現在、休業中の約50店が申請している。ただ目標とする1億円にはほど遠く、まだ約500万円しか集まっていない。それでもライブハウス関係者からは「金額じゃない、気持ちだから。暗いニュースの中、希望の光が差した」と感謝され、励みにした。

その間、チバさんに賛同する音楽関係者も現れ、そのつてでロックバンド「シーナ&ロケッツ」の鮎川誠さんによるオリジナルイラストの「アマビエ」を使用させてもらうことができ、同画をプリントしたTシャツや缶バッジ、エコバッグなどを支援者に届けることにした。

妖怪パワーと、鮎川さん-。強力タッグによる“助っ人”を得て、チバさんは「ロックの神、キング・オブ・ロックの鮎川さんが描いたアマビエが、博多のライブハウスを(コロナ禍から)救ってくれるはず」と願った。

福岡県は7日の緊急事態宣言に伴い、休業要請を出している。感染拡大で終息はまだ見えない状況だが、熊本県をゆかりとする疫病退治の妖怪がきっと助けてくれるはずだ。【菊川光一】