映画の配給や映画館などの経営を行う「アップリンク」代表の浅井隆氏(65)からハラスメントを受けたとして、東京地裁に同氏と同社に対して16日に損害賠償などを請求する訴訟を起こした元従業員が22日、都内で会見を開いた。元従業員3人は、浅井氏が訴訟を提起されたことを受けて16日と19日に発表した謝罪文は、原告側に謝罪も断りもなく行われた、対外的に謝罪のポーズを示したものにすぎず、受け入れられないと涙ながらに憤った。

原告の浅野百衣さん(31)は、16日に提訴し会見を開いた後「応援してくださる方の声に励まされた」と感謝した。その上で、浅井氏が19日に、今後についての方向性を示した謝罪文が、原告側に全く承諾も話もないまま、謝罪文を一部のメディアに交付し、公式サイトにアップされたことを批判。浅井氏が謝罪文を発表したことを、前向きに捉える向きもあったことから「謝罪は我々じゃなく、世間を向いているもの。合意の前に一部メディアに先に放ったこと、真摯な対応だと許してしまう方がいたこと…今も悔しい思いをしている」と涙した。その上で「浅井さんに対して、世間より先に被害者である我々、33年前から誰に加害し、痛みを与えたか自覚して欲しい。卑劣さを許すことが出来ない」と訴えた。

原告の錦織可南子さん(26)は「浅井さん、あなたの与えた傷について考えてください。映画を発信する人が守られてこそ、文化、場は守られる」と涙した。その上で「大企業に対しパワハラ防止法が施行され、中小企業には2年後…でも内容は不十分だと指摘された。業界、社会全体の問題。中身を変えていかないと、雇用主に都合の良い法律になっていると思う」と語った。

鄭優希さん(25)は「(浅井氏の謝罪文は)多くの人にとっては誠実と取られる内容だったが、どれだけの人の精神を痛め、まひさせているか。声明文を読んで安心を得た方は、想像できているのか?」と訴えた。