三浦春馬さんが主演予定だった12月のミュージカル「イリュージョニスト」(東京・日生劇場)をめぐり、主催者は代役探しなどの対応を急ピッチで進めている。しかし、本番4カ月半前に迫った時期の代役探しは難しく、最悪の場合は延期の可能性もありそうだ。

三浦さんありきの公演だった。日英共同の企画で、脚本、演出、音楽ともに英国の気鋭のスタッフが担当し、世界初演となる新作ミュージカルだった。19世紀のウィーンを舞台に、三浦さんは公爵令嬢と禁断の恋に落ちる天才幻影師を演じる予定だった。脚本、音楽はほぼ完成し、昨年秋には三浦さんをはじめ、海宝直人、愛希れいから主要キャストが参加したワークショップも行われ、三浦さんは「新たな名作のクリエーションに立ち会えること、身が引き締まる思いです」とコメントしていた。ストレートプレイの「地獄のオルフェウス」「罪と罰」で英国の人気演出家とタッグを組んだ三浦さんが、ミュージカルでも世界と勝負する公演でもあった。

しかし、三浦さんが亡くなったことで、代役探しを始めたが、演技力、歌唱力はもちろん、日生劇場を観客で埋められるスター性も必要なだけに、すぐには決まらない。11月に稽古が始まるなど、準備期間が短いこともネックになりそうだ。もし、代役探しに行き詰まり、コロナ禍で観客が定員の半分程度という状況が続きそうなことを考慮すれば、最悪の場合、公演延期の可能性も出てきそうだ。