違法薬物を所持したとして、覚せい剤取締法違反(所持)と医薬品医療機器法違反(同)の罪に問われたシンガー・ソングライター槇原敬之(本名・範之)被告(51)の初公判が21日、東京地裁(坂田正史裁判官)で開かれ、起訴内容を認めた。被告は新パートナーの存在を明かし「薬を使わなくても十分幸せ」と薬物断ちを誓った。即日結審し検察側は懲役2年を求刑。判決公判は8月3日。

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スーツ姿で入廷し、保釈時と比べて髪も刈り上げマスクをしてのぞんだ。起訴状によると18年3~4月、仕事場などとして使用していた東京・港区のマンションで危険ドラッグ「ラッシュ」約64・2ミリリットルと覚醒剤約0・083グラムを所持。今年2月には東京・渋谷区の自宅でラッシュ約3・5ミリリットルを所持したとしている。

槇原被告は起訴事実について認めた。ただ、薬物を近年は使用していなかったと主張した。今回押収された薬物は、所属事務所の前代表で、当時パートナーだった男性が入手元だとし「集合住宅だし、捨てるのは気をつけた方がいいと聞いたことがあって、とりあえず取っておいた」と説明した。18年4月に職務質問を受けた時、今回の逮捕時の薬物尿検査はいずれも「陰性」だった。

同男性とは18年3月に関係を解消し代表も解任。昨年11月、賠償金も支払った上で、槇原被告やスタッフと接触しない約束を交わしており「とにかく早く関係を断ちたかった。(接触しない約束も)僕の希望で入れました」と“薬物断ち”も行ったことを強調した。

現在新たなパートナー男性がいることも明かした。自宅でのラッシュ所持は「現在のパートナーに見つかってはいけないと思って、鍵のついている洋服だんすに入れておきました」。新パートナーは被告の薬物所持を知らなかったが「驚いたけど一緒に頑張っていこう」と言われたという。

薬物使用をやめた経緯についても「使っていた時も1人。全然楽しくないし、警察にずっとおびえながら生きていくのはバカバカしくなった。つらいことや大変なことがあっても、今は周りに素直に相談できるし、パートナーともいろいろなことを分け合ってやっていけるから大丈夫。薬を使わなくても、十分幸せだと感じているからです」と答えた。

99年8月に覚せい剤取締法違反容疑で現行犯逮捕され、懲役1年6月(執行猶予3年)の前科がある。裁判官から「また薬物を使いたいと思うかもしれませんが」と指摘されると一瞬言葉に詰まりつつ「本当に今は(使用は)ない。今は何よりもファンの人とか、周りの人とか、大事な人にもうこんな思いをさせたくないという気持ちが強いです」と誓った。

検察側は「常習性、依存性があり、厳罰が必要」と指摘。弁護側は執行猶予付きの判決を求めて、即日結審した。【大友陽平】