今年3月に62歳で亡くなった映画監督、佐々部清さんの遺作映画「大綱引の恋」が、鹿児島内で先行公開されており、31日、ロケ地の薩摩川内市でも上映され、舞台あいさつが行われた。主演の俳優三浦貴大(34)、三浦の妹役を演じた女優比嘉愛未(34)らが登壇した。

今作は薩摩川内市の伝統行事「川内大綱引」を題材に、三浦演じるとび職の跡取りと、女優知英(ジヨン=26)ふんする韓国人研修医の切ない恋、2人を取り巻く家族模様を描く。映画「陽はまた昇る」「半落ち」などで知られ、高倉健さん主演の映画「鉄道員」「ホタル」の助監督も務めた佐々部さんが、メガホンをとった。

比嘉は、佐々部さんから直々に出演を依頼され、三浦の妹役を演じたといい、映画を撮り終えた日に「(佐々部さんから)『これで愛未も佐々部組の一員だな』と言われた言葉が忘れられない」と振り返り、涙ぐんだ。

企画・原案も担当した鹿児島出資の俳優、西田聖志郎(65)は、大綱引きのシーンで約400人のエキストラが参加したことを明かし、「あれだけの人がいる現場を、他の監督はなかなか仕切ることができない。喪失感を感じる」と語った。

映画は来年5月に全国公開を予定している。