2012年(平24)に「嘆きのピエタ」で世界3大映画祭の1つ、ベネチア映画祭の最高賞・金獅子賞を受賞するなど国際的に評価された、韓国のキム・ギドク監督が11日、新型コロナウイルスによる合併症で滞在先のラトビアで亡くなった。韓国のメディアが一斉に報じた。59歳だった。

朝鮮日報電子版は、韓国外交部が同紙の取材に「キム・ギドク氏が新型コロナウイルスに感染し、死亡した」と答えたと報じた。韓国内にいる、キム監督の親族にも連絡したという。

キム監督は96年の「ワニ」で監督デビュー。04年の「サマリア」が世界3大映画祭の1つ、ベルリン映画祭で銀熊賞(監督賞)、同年の「うつせみ」がベネチア映画祭銀獅子賞(同)を受賞するなど、各国の映画祭で賞を受賞。「鬼才」の異名で知られた。

一方で、過激な描写を突き詰めるあまり、トラブルも相次いだ。08年の「悲夢」で自殺のシーンを撮影中、女優が命を落としそうになったことでショックを受け3年間映画界から姿を消した。ただ、映画を撮ることが出来なくなった自身を撮影した12年の「アリラン」で、カンヌ映画祭「ある視点」部門で最優秀作品賞を受賞した。

また13年の「メビウス」の撮影中、演技指導と称した暴力や暴言を受け、出演を辞退したと女優が主張。平手打ちされたり、脚本にないベッドシーンを強いたりされたとして、17年8月に告訴された。キム監督は「リアリティーを高めようと集中する中で起きたこと。傷ついた女優にはすまないことをした」と謝罪した一方、脚本にないシーンの強要などについては否定しが裁判所から罰金の略式命令を受けた。

18年には韓国メディアで性暴力も報じられるなど、トラブル続きだった。