米俳優で元カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガー(73)が10日、6日に米首都ワシントンDCの連邦議会議事堂で起きた襲撃事件を受けて1938年に起きた反ユダヤ主義暴動クリスタル・ナハトを引き合いに抗議のビデオメッセージをSNSに投稿した。

7分半にも及ぶ動画でシュワルツェネッガーは、オーストリアからの移民の一人として米国民に向けて、議事堂襲撃はナチス・ドイツを連想させるとの力強いメッセージを発信。第2次世界大戦終戦の2年後に生まれ、ナチス・ドイツの支配下にあったオーストリアで幼少期を過ごしたシュワルツェネッガーは、「暴徒が破壊したのは議事堂の窓やドアだけではありません。建国の理念、民主主義をも破壊したのです」とコメント。子供時代に周囲の大人たちは反ユダヤのナチではなかったものの多くが追従し、史上最も邪悪な政権に加担した罪悪感からアルコールに溺れるようになり、自身の父も泥酔して帰ってきて叫びながら妻や子供たちを殴るなど暴力を振るうこともあったと告白。多くのうそで社会が壊れていくのを体験してきたというシュワルツェネッガーは、今のアメリカではそれと同じことが起きていると危惧していると語っている。

また、暴徒を扇動したトランプ大統領についても「うそで人々をミスリードし、選挙結果を覆そうとしました。トランプ大統領は指導者として失格です。史上最悪の大統領として歴史に残るでしょう。良いことは彼はすぐに古いツイートのようにすぐに消えていくことです」と痛烈に批判している。

自身は共和党員のシュワルツェネッガーだが、「政党に関係なく、米国民として癒やしが必要」だと訴え、民主党のバイデン次期大統領の成功を祈ると語り、支持を呼びかけている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)