今年に入ってアジア系の住民を標的にした事件が頻発しているカリフォルニア州で、今度はロサンゼルス(LA)にある東本願寺ロサンゼルス別院が放火や破壊の被害に遭ったことが明らかになった。

地元メディアの報道によると、先月25日夜にリトルトーキョーにある同寺に何者かが防護柵を乗り越えて侵入し、提灯台に火をつけ、金属製の灯籠2つを破壊し、窓ガラスをたたき割って逃げ去ったという。防犯カメラには30代くらいの白人男性の犯行に及ぶ様子が映っていたというが、犯人は逮捕されておらず、動機も不明。けが人はいなかった。

 

LAタイムズ紙によると、警報機は作動しなかったというが、寺の裏にある事務所にいた僧侶の1人が騒動を聞いて駆けつけ、消火器で火を消したため大事には至らなかったという。ABCテレビによると今月に入ってから、不審者の侵入などが2度起こっていたというが、関係者は過去45年でこのような事件は起きたことがないと語っている。警察はヘイトクライムの可能性があるとみて捜査しているという。

 

LAでは先日も、韓国人街で友人と待ち合わせをしていた韓国系米国人の青年が突然人種差別的な言葉を浴びせられ、暴行を受けて負傷する事件も起きている。トランプ前大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と形容したことが呼び水となり、昨年はアジア系を狙った事件が3000件近く起きている。一昨年はわずか4件だったことから事件の激増にアジア系住民の間では不安が広がっており、SNSの呼びかけでアジア系の高齢者を守るため一緒に歩く見守り運動も広がりを見せている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)