ZOZO創業者でスタートトゥデイ代表取締役の前澤友作氏(45)が3日午前7時過ぎに、ツイッターを更新し、米宇宙ベンチャー「スペースX」と契約し、23年に予定する民間人初の月周回飛行を行う宇宙プロジェクト「dearMoon」の同乗者を世界中から8人、募集すると発表した。

前澤氏は、18年10月9日に都内の日本外国特派員協会で開いた会見では、画家、写真家、映画監督、ファッションデザイナーら最大8人の世界的アーティストを月旅行に招待し、月と丸い地球を見て受けたインスピレーションをもとに作品を創作するアートプロジェクトだと説明した。質疑応答の際、記者も質問したが、同氏は現代アートのコレクターとして知られる自身がホストキュレーターになることを含め、各アーティストに役割があるとも語っていた。

その方向性を、YouTubeで動画を配信する形で、約2年5カ月ぶりに発信した声明の中で大きく転換した。その理由について、前澤氏は「アーティストって一体、誰のことを言っているんだろうと分からなくなりました。歌を歌っていればいいのか、ダンスをしていればいいのか、本を書いていればいいのか…どういう人が一体、アーティストなんだろうっていう風に、ちょっと分かんなくなりまして」と語った。そして「もしかしたら世界中で何かしらクリエーティブな活動をしている人を、全てアーティストと言ったっていいじゃないかって思うようになったんですね」と続けた。

その上で、提示した応募条件は2つ。

<1>宇宙に行くという経験をいかし、社会や人の役に立つための自身の活動を、圧倒的に伸ばし加速させることができる方

<2>同じ船に乗る仲間の活動を、自身の活動と併せて全力で応援し協力できる方

前澤氏が「皆さんがやっている何らかの活動が、今回、宇宙に行くことでなんか大きく成長して、人々や社会の役に立つなっていう可能性を持っている人に参加して欲しい」と語るのを聞き、感じるものがあった。

今回のプロジェクトは、72年の米航空宇宙局(NASA)のアポロ17号以来51年ぶり、米国人以外で初めて、民間人としても初めての月旅行になる。もし、記者が月旅行に行き、その全ての体験を記録、取材し、発信すれば、世の中の人々が宇宙に興味を持つきっかけくらいにはなるかもしれない。

何より、無重力状態で原稿をどうやって書くのか、写真はどう撮るのか、そもそも、前澤氏はじめ同行クルーのコメントをどう取るか…宇宙での取材活動に非常に興味がある。宇宙で取材活動が出来るとなれば、それは記者として自分の成長に大きくつながるのではと思う。

「dearMoon」公式サイト内のエントリーページに必要事項を記入する事前登録は発表後、すぐに始まっており、14日午後11時59分(日本時間)に締め切られる。そこに登録するか否か、考え始めている。未知の領域である宇宙に行く…好奇心はあるが、人類のコントロールが、なかなか利かない場所に行くことには危険が伴う。

ただ、動画の中で前澤氏が「ちょっと怖いですけど、そんなことより好奇心が上回る」と語る気持ちも分かる。前澤氏の発表から17時間がたとうとする午後11時50分、取材現場から帰ってきて早々、思案している自分がいる。【村上幸将】