世界3大映画祭の1つ、ベルリン映画祭の各賞が5日、オンラインで発表され、最高賞の金熊賞を争うコンペティション部門に、濱口竜介監督(42)の新作映画「偶然と想像」が銀熊賞(審査員大賞)に輝いた。

同監督は「映画『偶然と想像』がベルリン国際映画祭審査員グランプリ(銀熊)賞を受賞しました。経験豊かな監督たちがそろった『審査員からの賞』が贈られたということを心からうれしく、誇らしく思っています。撮影中ずっと、役者の演技を見ながら、カメラの後ろで驚いていました。その驚きが海を超えて伝わったことに感激しています」と喜びのコメントを発表した。

映画の見どころについて、濱口監督は「この映画、1番の見どころはと問われたら『役者の皆さんの演技』だと答えます」とキャストに感謝した。 第1話「魔法(よりもっと不確か)」に古川琴音(24)と中島歩(32)玄理(34)、第2話「扉は開けたままで」には渋川清彦(46)、森郁月(32)と甲斐翔真(23)、第3話「もう一度」には占部房子(43)と河井青葉(39)が出演している。同監督は「会議室のようなリハーサル部屋で始まった時間が、このような結果にまで結びつきました。この物語の価値を信じて参加し、最高の演技をしてくださった役者の皆さんにこの場を借りて、御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました」と感謝した。

さらに「そして、その役者の演技を支えるようにして、献身的に仕事をしてくれたスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。演技の素晴らしさは皆さんがつくってくれた環境から生まれたものです。今はなかなか集まる機会が持てませんが、早く皆さんと喜びを分かち合いたいと思います」とスタッフにも感謝した。

そして「ベルリン国際映画祭にも改めて御礼を申し上げます。この映画を見つけてくれて、ありがとうございました。審査員グランプリ賞、とても光栄に思っています」と映画祭事務局にも感謝の言葉を贈った。

◆濱口竜介(はまぐち・りゅうすけ)1978年川崎市生まれ。東京大卒業後、商業映画の助監督などを経て、東京芸術大大学院映像研究科に入る。2008年、修了制作作品「PASSION」をサンセバスチャン国際映画祭に出品。東日本大震災の被災者をインタビューしたドキュメンタリー「なみのおと」「なみのこえ」などを共同監督。「ハッピーアワー」は15年のロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞、「寝ても覚めても」は18年のカンヌ国際映画祭でコンペティション部門に選ばれた。昨年のベネチア国際映画祭で黒沢清監督が監督賞を受賞した「スパイの妻」では脚本を共同執筆した。